- 嫌がらせや妨害を受けたらすぐに対応する
- やめさせるためには、しっかりとした証拠集めが不可欠
- 短期間で解決するためには専門家に対応をまかせる
設立から苦労してきたが、コツコツ努力してきたおかげで軌道にのってきた。
お客様からの信用も得てリピート客が増え、売り上げも順調に伸びている。
更なる成長を目指していた矢先、次のような嫌がらせや妨害を受けるようになった。
- SNS上にいわれのない悪口が書かれている
- 店周辺に誹謗中傷するビラがまかれている
- 自社の社員が引き抜きにあっている
しかもやっているのはライバル会社の可能性が高い。
ライバル会社は事業内容をわかっているので、どのような嫌がらせをすればよりダメージを与えられるかを簡単に思いつきますので、タチが悪くやっかいです。
ここではライバル社からの嫌がらせや妨害に悩む方に向けて、調査の方法や、やめさせるための方法をお伝えします。
目次
個人・企業に対する嫌がらせや妨害の違い
同じ嫌がらせでも企業に対する嫌がらせの方が個人よりも解決しやすいというのはご存じでしょうか。
個人の嫌がらせは恨みやトラブルを原因として、相手を困らせ精神的なダメージを与えることが目的となります。
自分が納得するまではどんな罰を受けてもやめないケースも散見されます。
一方、企業に対する嫌がらせは相手の利益を失わせて自社の利益を高めることが目的です。
嫌がらせがバレて逆に自分たちの評判が落ち、利益が下がってしまっては元も子もありません。
このため会社に対する嫌がらせや妨害は、証拠をつかみ正しい手段を取れば、スムーズに解決できるケースが多いのです。
嫌がらせや妨害の例
ライバル会社などからの嫌がらせや妨害には次のような事例が挙げられます。
(1)事実無根のうわさを広める
自社をおとしめるために事実無根のうわさを拡散させます。
うわさがやっかいなのは、放置しているとたとえ真実でなくても信用してしまう人が増え、真実だとして定着し、またたく間にひろがってしまうからです。
事実無根のうわさの例は以下のようなものがあります。
- 社長が愛人を養うために会社の金を流用している
- 労働環境はブラックで、サービス残業が横行している
- パワハラが横行しており自殺者が出た
(2)同業他社からの組織的な嫌がらせ
新規参入者はよそ者と見なされ、急成長している会社はやっかみや業界の秩序を乱す存在として組織的に嫌がらせを受ける場合があります。
組織的な嫌がらせの例は以下のようなものがあります。
- 業界の会合に出席したら、既存業者から理不尽なつるし上げをくった
- 一時的に不当に安く価格操作をして業界から締め出されようとしている
- 自社の商品が店内の目立たないところばかりに意図的に陳列されている
(3)インターネット上での嫌がらせ
簡単に投稿できる、匿名性が高く発信者の特定が難しいなどの理由からインターネット上での嫌がらせが増加しています。
最近は個人が商品を購入する際、企業が新規に取引を開始する前にネット検索によって判断するのが一般的です。
このためネット上に悪評が放置されていると、新たな取引の機会を失ってしまいます。
インターネット上での嫌がらせの例は次のようなものがあります。
- 妨害する目的で口コミサイトに最低の評価をする
- SNSや掲示板上に根拠のない悪評を書く
- スパムメールを大量に送り付ける
- インターネット広告を意味もなく何度もクリックし、クリックの回数に応じて発生する広告費を無駄に使わせる
(4)店舗や営業所への直接的な嫌がらせ
ネットでの嫌がらせと異なり、直接的な嫌がらせは常連客や得意先にそのまま伝わりますので、ダメージがより大きくなります。
嫌がらせの例は以下のようなものがあります。
- 誹謗中傷が書かれたビラを貼り付けたり、周辺に誹謗中傷のビラをポスティングしたりす る
- 取引先や関係者に誹謗中傷のビラや手紙を直接郵送する
- 大量の注文をしておきながら後日キャンセルする
(5)社員の引き抜き
自社の幹部や優秀な営業マンに好条件を提示してライバル会社に移籍させるケースが該当します。
引き抜きにより次のような悪影響が及ぶと考えられます。
- 担当者がいなくなることによって取引先を失い、会社の売り上げが減少する
- 社員が頻繁に辞めてしまうとの評判が広まり、会社の信用を失う
- 残った社員への負担が増し、さらに退職者が増えるという悪循環におちいる
- 新規採用や新人教育のコストが増える
嫌がらせや妨害を受けてやってはいけない行動とは
嫌がらせや妨害を受けた際にやってはいけない行動を列挙しました。
(1)問題を放置する
嫌がらせや妨害を確認したら、すぐに対策を講じなければなりません。
本業が忙しくて手が回らないので様子を見ようとか、すぐにやむだろうなどと先送りしてはいけません。
時間が経過すればするほど状況は悪化し、取り返しのつかない状況におちいりますので一刻も早い対応が必要です。
あなたの家が火事になったときはボヤの段階で消し止めようとするはずです。燃え広がるまで指をくわえて眺めていればどうなるかは分かっているはずです。
嫌がらせや妨害を認知したらどのような状況であれ一刻も早い対応が必要です。
(2)自ら交渉する
嫌がらせの現場を直接目撃した場合や調査を進めて嫌がらせした人物が判明した場合でも、自分自身で直接交渉することはやめてください。
おすすめできない理由は2つあります。
冷静に交渉することは難しい
あなたは会社に損害を与えようとする人間を目の前にして冷静に交渉できるでしょうか。
どうしても言葉が荒くなったり、態度が攻撃的になったりするのは避けられません。
あまりにもエキサイトしてしまい、相手から脅迫罪で訴えられたり思わず手が出てしまったら目も当てられません。
解決させるためには専門的な知識が必要
問題を解決するためには、証拠の活用や法律の知識など専門的な対応が必要になります。
法律や交渉のプロである弁護士に交渉を依頼しましょう。
ただし何らかの事情により自分で交渉しなければならない場合もあるでしょう。
その場合は交渉の推移を冷静に判断し、適切なアドバイスを送れる人物の立会いを求めてください。
例えば、証拠収集に携わった調査員であれば、証拠集めを通じて状況を把握していますし、嫌がらせ事案に長年携わってきた経験から的確なアドバイスが可能です。
いずれにせよ嫌がらせの相手と交渉する際には、弁護士や調査員などの専門家の関与が必要となるでしょう。
(3)嫌がらせをした相手に報復する
「目には目を」とばかりに嫌がらせした相手への報復は絶対にやめてください。
報復してもいったん気は収まるでしょうが、必ずバレます。
自分が評判を落としてしまっては本末転倒です。
ところでなぜライバル会社はあなたに嫌がらせや妨害をしたのでしょうか。
それはあなたの会社を評価し、強力なライバルとして脅威を感じたからに他なりません。
嫌がらせをするようなくだらない会社を相手にしていても時間の無駄ですので、短期間で問題を解決し、本業に専念しましょう。
証拠集めが解決への第一歩
嫌がらせや妨害の犯人を特定し、示談や裁判あるいは警察に動いてもらうなど解決の手段を取るためには証拠がなければなりません。
証拠には2種類あり、自らが集める証拠と客観的な証拠の両方をそろえる必要があります。
必要となる証拠の種類
必要となる証拠の種類は以下のとおりです。
(1)自らが集める証拠
まずは可能な範囲で次のような証拠を集めてください。
①嫌がらせや妨害の内容を記録
- 嫌がらせのメールや手紙が送られてきた
- 誹謗中傷が書かれたビラが撒かれた
- SNS上での誹謗中傷されている
- 同業者の会合に出席したらまわりからつるし上げをくらった
など
あわせて、いつ、どこで、誰によって、どのように行われたかなど5W1Hにもとづいて整理し、時系列順に記録します。
- いつ:〇月〇日〇時ごろ
- どこで・どこに:口コミサイトに
- 誰が:不明
- なぜ:当社の評判を落とすために
- どのようにした:いわれのない誹謗中傷を書き込んだ
②物的な証拠
以下のような犯行にかかわる物的な証拠も保存しておきます。
- 撒かれたビラや張り紙
- 壊されたもの
- 現場に残されていたもの
- ネット上であれば該当する画面のスクリーンショット
(2)客観的な証拠
客観的な証拠とは犯行を客観的に示す証拠、たとえば嫌がらせの模様を記録した写真、音声、映像、第三者が調査して作成した報告書などです。
相手がしらを切った場合や裁判になった場合に、客観的に見て間違いないという証拠の提示が重要となります。
客観的な証拠集めはプロにまかせよう
嫌がらせや妨害による影響を最小限にして解決するためには、正確な証拠を素早く収集できるかがカギとなります。調査の経験がない人が効率よく、しかも短時間で必要な証拠を収集することは難しいです。客観的な証拠集めはプロの探偵に依頼してください。
調査経験のない人が客観的な証拠を集めるのは至難の業です。以下ではその理由を解説します。
その1.必要な撮影機材をもっていない、機材を扱うことができない
離れた距離から被写体を明確に判別できる写真や映像は、スマートフォンのカメラで気軽に撮影できるものではありません。
撮影するためには高価な撮影機材が必要となりますが、だからといって1回の調査のためにわざわざ機材をそろえるのは不経済です。
またレンタルしたとしても、機材をすぐに使いこなすためにはプロのカメラマンであっても一定の時間が必要でしょう。
その2.一瞬のシャッターチャンスをものにする撮影技術がない
もし必要な機材を使用したとしても、撮影する技術が不可欠です。
写真や映像がピンぼけしていたり、顔や姿が判別できなかったら意味がありません。
また大っぴらに撮影している姿を見せるわけにはいきませんので、隠し撮りなど他人に悟られないように撮影する技術が欠かせません。
さらに長時間尾行や張り込みを続けても決定的な証拠を撮影できるチャンスはほんの一瞬です。
厳しい状況でシャッターチャンスをものにするためには、通常の撮影とは異なる特殊なテクニックが必要となります。
その3.裁判で証拠と認められる書類の作成方法を知らない
裁判所に提出する調査報告書は、必要な証拠を漏れなく記載しなければなりません。
出来次第で裁判官の心象を左右しますので、報告書は判決に多大な影響を及ぼします。
そんな大事な報告書をあなたひとりで作成するのは難しいでしょう。
一方、プロの調査員はどのような報告書を作成すれば裁判の証拠として認められるかを知り尽くしています。
必要な項目を簡潔にわかりやすく、かつ漏れなく記載した報告書の作成は専門家に任せるべきでしょう。
プロが行う調査とは
それではプロの調査員はどのような調査を行って客観的証拠をつかむのでしょうか。
(1)張り込み
張り込みは、嫌がらせをした疑いが濃厚な企業を見張ったり、自社周辺に待機して嫌がらせが行われた時はその様子を記録したりします。
張り込みはただ待っていればいいのだから簡単だとお考えかもしれませんが、そうではありません。
まずはどこに張り込むかが重要となります。
次のような点を考慮し、これまでの経験もふまえて最適な場所を選定します。
- 周囲から見て不自然でないか
- 対象人物の顔を目視できるか
- 対象人物の死角になっているか
また嫌がらせがいつ行われるかわかりませんし、行われる時間は短時間ですので一瞬でも気を緩めることができません。
長時間にわたる緊張状態が続き、体力に加え集中力や忍耐力が必要となります。
トイレに行きたくなったり満腹になると眠くなったりするという理由から、張り込み中は一切飲み食いをしないという調査員もいます。
(2)尾行
張り込み中に、嫌がらせを行った人物を認めた場合、そのままその人物の後を追います。
住んでいる場所や行動パターン、立ち寄る場所などすべての行動を突き止めます。
もし途中で誰かと会ったり、別の場所に立ち寄ったりすれば共犯者や黒幕の存在が判明する可能性もあるでしょう。
尾行というと、電柱のかげや交差点の角に身を隠しながら追跡するイメージをお持ちかもしれませんが、実際は違います。
対象者の10〜15m後ろを他の通行人と同じようにさりげなく歩くのが鉄則です。
さらに対象者と歩調やリズムを合わせる、急に立ち止まった場合でもそのまま通り越してあとで再び後ろに回り込むなど尾行に気づかれないテクニックを駆使して行います。
(3)聞き込み調査
嫌がらせの事実や背景を調査するために、聞き込みも欠かせない手段です。
対象者の周辺の人物に話を聞く場合や、調査対象者に直接聞く場合もあります。
また調査員であると堂々と身分を明かしてたずねる場合もありますし、身分を隠して行う場合もあります。
ただ見ず知らずの人間がいきなり質問しても不審がられて答えてくれる人は皆無でしょう。
そのため最初は雑談から入りさりげなく調査の本題に入る、調査対象者の知り合いや関係者を装って聞き込むなど経験や度胸が必要とされる調査です。
(4)発信者情報開示請求
発信者開示請求とは、ネット上で誹謗中傷する書き込みを行った人物を特定するための手段です。
ネットの投稿は匿名でできるからといって誹謗中傷した人物が判明しないということはありません。
開示請求はプロバイダーに対して行い、投稿者に関する次のような情報を取得できます。
- 名前
- 住所
- 登録された電話番号
- メールアドレス
- 誹謗中傷の書き込みを行った日時
など
この請求は裁判所に申立が必要となりますので、手続きは弁護士に依頼します。
証拠を集めてから解決までの手段
証拠を集めて犯人を特定した場合、次のような方法で嫌がらせや妨害をやめさせます。
(1)示談する
示談とは、嫌がらせや妨害をした相手と裁判ではなく当事者間の合意によって解決する方法で、加害者が誤りを認め、反省していることが前提です。
嫌がらせや妨害をした人物は、慰謝料や迷惑料などの名目で金銭を支払います。
一方被害を受けた側は被害届などを提出しない、事件を第三者に口外しないなどの取り決めを行います。
合意した内容は口頭でも有効ですが、示談書を作成してお互いに取り交わす方法が一般的です。
(2)民事訴訟をおこす
民事訴訟とは、嫌がらせや妨害をした相手との争いについて裁判官が双方の言い分を聞いたり、証拠を調査したりして解決をはかる手段です。
前項の「示談」の場合は、加害者が自らの行為の誤りを認めていることが前提となりますが、相手が認めない場合は民事訴訟をおこして損害賠償や慰謝料という金銭をもって解決をはかります。
裁判で勝訴すれば相手が賠償金を払わない場合でも、強制執行の手続きを取り、財産の差し押さえなどで強制的に回収することが可能です。
民事訴訟では以下のような項目を請求できます。
①財産的損害
壊されたりなくなったりしたものや本来得られるはずであったが得られなかった利益を弁償する。
②慰謝料
精神的苦痛を受けたなど非財産に対する損害に支払われる賠償金
③名誉回復措置
名誉回復措置とは、被害者の請求にもとづいて損害賠償にかえて又は損害賠償と共に名誉を回復するための措置で、裁判所が命じます。
根も葉もないうわさを流されて信用が落ちた場合は金銭のみでは償えないので、うわさがウソであったと広く知らせるために行われます。
- 例 新聞やウソの掲示をしたインターネット上での謝罪広告 など
(3)刑事告訴する
刑事告訴とは、嫌がらせや妨害を行った人物に罰金刑や禁固刑といった刑罰を求めるための手段です。
嫌がらせや妨害では以下のような罪に問えると考えられます。
① 器物損壊罪
故意に他人の物を壊したり傷つけたりして使用できなくする罪です。
3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料に処せられます。
② 信用毀損罪や業務妨害罪
いずれも他人の経済的な活動を妨害する罪となります。
信用毀損罪は、ウソの内容を広めることによって経済的な信用を低下させる罪です。
広めた内容がウソだった場合に限って罪に問われます。
業務妨害罪は、ウソの内容を広めたり、嫌がらせなどの威力を用いて業務を妨害する罪となります。
両罪とも3年以下の懲役、50万円以下の罰金に処せられます。
③ 住居侵入罪や建造物侵入罪
嫌がらせなどをするために他人の住居や店舗、事務所などに無断で侵入した罪です。
3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます。
④ 名誉毀損罪や侮辱罪
公然と人の名誉や社会的評価を下げたり、侮辱したりする罪となります。
名誉毀損は、事実(A社はごみを不法投棄している、B店は消費期限を偽って販売しているなど)を示して侮辱する行為です。
信用毀損罪と違い名誉毀損罪は、示した事実が真実でも虚偽でも成立します。
名誉毀損罪は、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金に処せられます。
一方侮辱罪は、具体的な事実を示さず(Cはアホだ、D社はブラック企業だなど)に侮辱する行為です。
侮辱罪は、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられます。
まとめ
これまで見てきたようにライバル社からの嫌がらせや妨害を解決に導くためには次のような対応が求められます。
- 被害を拡大させないために一刻も早く対応する
- 嫌がらせした人物を特定し、解決への手段を講じるためには証拠が不可欠
- スムーズに解決に導くためには、弁護士やプロの探偵など専門家の手を借りるのが一番
早期に解決できるかはあなたの行動にかかっていますので、悩んだり手をこまねいている時間はありません。
プロの力を借りて短期間でかつ効率的に問題を解決しましょう。