健全な経営のために、従業員に対する定期的な調査を実施する企業があります。
従業員が働きやすい職場環境の実現や、問題の早期発見、社内不正の予防などのために実施する調査です。
この記事では、企業が知っておきたい従業員への定期的な調査について、目的や調査方法などをお伝えします。また、企業が探偵に調査を依頼した際の、調査の詳細もあわせてご紹介させていただきます。
目次
従業員への定期的な調査を実施する目的
企業が従業員への定期的な調査を実施する主な目的は「要注意人物」と「社内不正や裏切り行為」を発見するためです。
それぞれの特徴を解説します。
要注意人物を見つけるため
多くの人材を雇用している企業では、問題を抱えている人物が働いている可能性があります。
問題がある人物は、企業にとって不利になる行為をする恐れがあるため注意が必要です。
例えば、人間関係のトラブルを起こしたり、怠慢な勤務態度が問題視されたりするケースなど、そういった従業員は「要注意人物」として早期に対策を打つのが望ましいでしょう。
早期に要注意人物を把握して問題が起こる前に対処することが、従業員に対する定期的な調査の目的の1つです。
社内不正や裏切り行為の発見のため
社内不正や従業員による裏切り行為をできる限り早期に発見することも、定期的な調査を行う重要な目的の1つです。
定期的に調査を実施することで、何もしなければ発覚しにくい細やかな問題の発見が期待できます。例えば、従業員による業務上横領や情報漏洩などの社内不正が発覚するケースです。また定期的な調査の実施が抑止力となって、不正行為の予防につながるメリットもあります。
企業内で実施する定期的な調査の例
では実際に企業における定期的な調査にはどういったものがあるのでしょうか。
企業が自分自身で調査を実施する「スクリーニング調査」と外部に委託して行う「身辺調査」が代表的な調査の例に挙げられます。
企業内で実施するスクリーニング調査
社内でヒアリングやアンケートなどを実施する方法です。
すべての従業員を対象に行うことで、全体を通して要注意人物のピックアップや社内不正など裏切り行為のチェックができる特徴があります。
スクリーニング調査でピックアップされた特定の人物に対して、更により実態を明らかにするため掘り下げた調査を実施するのが一般的です。
ランダムに選出された従業員に対する身辺調査
全従業員を対象にランダムに選ばれた人に対して、身辺調査を実施する方法です。
不正に対する予防調査として実施することが多く、定期的に実施することで、不審な人物の発見につながることがあります。
身辺調査を実施する場合、外部の専門業者に委託するのが一般的です。
探偵事務所などの専門業者では対象の従業員の行動調査や人間性の確認調査、コンプライアンスチェックなど、より詳細な調査が行われます。
探偵が行う従業員の身辺調査とは?
探偵とは、依頼に応じて特定の人物の身辺調査を実施することが認められている事業者のことです。(探偵業の業務の適正化に関する法律 第二条)
行動調査やデータ調査、聞き込み調査、取材調査など、専門的な手法を用いて調査を行います。
探偵が行う身辺調査によって、対象となる人物の普段の行いや過去の経歴、人間性などの実態が明らかになります。
探偵が行う従業員への定期的な素行調査【具体例】
実際に弊社に寄せられた相談を基に、具体的な従業員に対する定期的な素行調査の実例をご紹介します。
※守秘義務に反しないよう、内容の一部に改変を加えております。
【定期的素行調査の実例1】
対象者 | 総務部一般社員のBさん |
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調査目的 | 内部調査で浮上した横領の疑いに関する確認調査 |
調査料金 | 85万円(経費別) |
調査内容 | 聞き込み調査・行動調査・データ調査 |
調査結果 | 社内備品の横領が発覚し処分を検討中 |
調査前の状況
依頼企業である広告代理店A社では、社内で定期的な面談やアンケートを実施していた。
面談の際に、総務部一般社員のBさんが備品の横領をしている可能性があるとの相談が寄せられ、社内調査でも同人物が疑わしいと結論付けた。そこでA社はBさんの横領行為を確認し、事実であれば証拠収集するために弊社に調査の依頼をした。
調査開始
Bさんに対する行動調査や聞き込み調査によって、会社が客先に渡すために購入している備品をBさんが持ち帰っていることが判明した。A社は追加の調査を依頼する。
調査後、解決
尾行調査やデータ調査によってBさんが横領したA社の備品を転売していることが判明した。その後の調査でも繰り返し転売していることが確認できたため、悪質な社内不正であると判断したA社はBさんに対する処分を検討している。
【定期的素行調査の実例2】
対象者 | 物流会社A社の管理職Bさん |
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調査目的 | 予防調査によって浮上した不適切な人間関係の確認調査 |
調査料金 | 60万円(経費別) |
調査内容 | 行動調査・データ調査 |
調査結果 | Bさんの人間関係に問題ないことを確認 |
調査前の状況
A社が定期的に実施している予防調査によって、ランダムに選ばれた対象者である管理職のBさんが、社外で若い女性と頻繁に会っていることが素行調査により判明した。BさんはA社の管理職社員の1人であり、若い女性との関係が不適切な交際であった場合、会社のイメージを損なう恐れがあった。A社は念のため弊社にBさんに対する追加の調査を依頼した。
調査開始
Bさんに対する尾行調査や聞き込み調査によってBさんが社外で会っていたのはBさんの実の娘であることが判明。社内の人間はBさんに娘がいることを知らなかったが、Bさんには前妻との間に1人娘がいることが確認できた。
調査後、解決
Bさんに対する疑いが解消され、A社はBさんが会社の管理職として問題がないことを確認できた。
従業員への身辺調査を探偵に依頼する際のポイント
従業員の定期的な調査を行う目的や実例をご紹介しました。
では実際に調査を探偵に依頼する際、どのような点に注意をしたら良いのでしょうか。
従業員への身辺調査を探偵に依頼する際のポイントをお伝えします。
信頼できる探偵事務所に依頼する
企業調査は単純な調査と違い、調査を実施するための専門的な知識が必要です。
調査の目的をきちんと把握し、より効果的に調査を進められる探偵事務所に依頼をするのが望ましいでしょう。
依頼企業の目的や要望に沿った調査を行なう為には、企業に対しての豊富な対応力も必要です。
それは調査能力だけではなく、交渉力や秘密保持に関する知識や経験値など多岐に渡ります。その点を理解し、きちんと担当者と調査内容のすり合わせができる探偵事務所は信頼性が高く、より本質的な調査の結果を得ることが期待できます。
特に専門性を保有している探偵事務所に依頼する
企業調査は単純に調査対象者の尾行だけすれば良いという訳ではありません。
状況に応じて調査の進め方を判断できる専門性が必要です。
経験により培ってきた様々な引き出しの中から、どの調査手法がマッチしているのかを判断し、それを実行できる探偵事務所に依頼することが重要です。
企業調査における豊富な経験があり、実績を公開しているような探偵事務所を選びましょう。
事前に料金の相談ができる事務所に依頼する
探偵が行う調査の内容や調査期間などは、それぞれの事務所によって異なります。
探偵事務所によって企業調査にかかる費用が大幅に異なるケースもあります。
適切な費用で調査を依頼できるかどうかを見極める必要があるため、費用について明確に打ち合わせができる探偵事務所を選びましょう。
探偵事務所を顧問のように雇って定期的な調査を実施している企業もあります。
さまざまな費用について一度、探偵事務所の担当者に相談してみると良いでしょう。
まとめ
企業が実施したい従業員に対する定期的な調査の目的や方法、具体例などをご紹介しました。
より健全な経営を続けるためには、従業員を対象とした調査を定期的に実施することが有効といえます。
要注意人物のピックアップや社内不正の防止という目的もありますが、何も問題が無いことの確認作業という側面もあり、それが実は一番大きな収穫でもあります。
人材は宝でありマネジメントとして最も大切なことといえます。従業員に対する定期調査をお考えの方は是非一度検討してみてください。