問題社員の素行調査とは?辞めさせたい理由や具体的な対処法

記事更新日:

従業員を雇用している企業では、たまに問題がある社員の存在に頭を悩ませるケースがあります。企業では、さまざまな人材が働いているため、社員が起こすトラブルの解決は企業にとって必須の業務だといえます。

問題社員がいる企業はどのように対応をしたら良いのでしょうか。

まずは問題社員の素行調査によって、問題点を洗い出し明確にすることが大切です。

問題社員の素行調査や対処法、問題社員を抱える企業のリスクなど。弊社に寄せられた相談を基に具体的に解説します。

問題社員の素行調査とは?

問題社員の生活態度や勤務の実態を確認するための調査です。

勤務態度のみではなく、問題社員のプライベートの素行まで調べることがポイントです。

主に企業が問題社員に対する指導や処分、解雇などに必要な情報を集めるために行う調査です。

問題社員の特徴とは

そもそも問題社員とは、具体的にどういった人材を指すのでしょうか。

企業に迷惑をかけたり、規則に違反したり、特徴は多岐にわたります。

その中でも一般的な問題行動には、以下のようなものが挙げられます。

  • 仕事でミスを繰り返し、改善意欲がない
  • 人間関係のトラブルを繰り返す
  • 遅刻や無断欠勤を繰り返す
  • 不法行為や問題行動を起こす
  • 就業規則に違反する

仕事のミスやトラブルなどを何度か起こしてしまう程度では、問題社員だと定義するのは難しいかもしれません。しかし繰り返しミスやトラブルを起こす中で、改善する気持ちがなく、企業の生産性の低下や周囲の人間に大きな負担がかかっている際は、問題社員だと考えられる可能性が高まります。

そのほかに不法行為や就業規則への違反など、一度の大きなトラブルが原因で問題社員の存在が発覚するケースもあるでしょう。

基本的に企業にとって迷惑な行動をとる人材であるため、問題社員のことを「モンスター社員」と表現することがあります。

問題社員を辞めさせることはできる?

問題社員の特徴についてご紹介しました。

では、企業側が問題社員を辞めさせることはできるのでしょうか。

結論として日本では、企業が社員を解雇することに対する規制が厳しく、簡単には辞めさせられないといえるでしょう。

企業が社員を辞めさせるためには、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要と定められているためです。(労働契約法 第三章 第十六条)

もし、企業が十分な理由なく社員を解雇した場合、「不当解雇」とみなされて解雇が無効になり、問題社員から損害賠償請求をされる恐れもあります。

つまり、問題社員を辞めさせるためには、相応の理由がある上で、適切な手順を踏んで準備する必要があるということです。

一般的にはどのような手順を踏んで、問題社員の改善もしくは解雇を進めたら良いのかは、以下で詳しくご紹介します。

問題社員への具体的な対処法

日本では企業が社員を解雇するのは簡単ではないということがわかりました。

問題社員がいる企業は、適切な方法によって問題解決に努める必要があります。

企業がとるべき基本的な対応についてそれぞれ解説します。

改善のための指導を行う

問題社員に改善の余地がある場合、まずは上司から指導を行うのが一般的です。

業務のミスや遅刻を繰り返している場合など。問題社員本人に、問題点を自覚させ、改善するための行動を提案します。

報告書の作成や面談などによって、定期的に問題社員の勤務状況を確認するのが望ましいでしょう。

問題社員に対する適切な指導によって改善するケースがあります。

退職勧奨をする

退職勧奨は、問題社員本人に対して自主的に退職することを促す方法です。

よほど悪質な問題社員でない限りは、解雇をする前に退職勧奨をするのが一般的といえます。

退職勧奨によって本人の同意のもと、退職届を提出してもらったほうが、企業側から解雇するよりも問題に発展する可能性が低いためです。退職後の問題社員に、処分の不当性を訴えられるリスクが減少するといえるでしょう。

解雇予告をする

問題社員の行いが悪質な場合や、能力不足によって就労ができない際などは、解雇を検討せざるを得ない状況といえます。

企業が社員を解雇する際は、原則30日以上前に「解雇予告」をする必要があり、解雇予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があるため注意しましょう。(労働基準法 第二章 第二十条)

しかし、「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」は、解雇の予告や30日分以上の平均賃金を支払う必要はないと定められています。

問題社員の行いが重大もしくは悪質な場合は「解雇予告除外認定」を労働基準監督署に申請します。労働基準監督署長の認定を受けた場合、解雇予告なく解雇することができます。

解雇には普通解雇や懲戒解雇などの種類があり、問題社員を辞めさせる理由によって解雇の内容が異なります。適切な方法で解雇の手配を進めましょう。

問題社員への対処が遅れる際の3つのリスク

問題社員の特徴や対処法について解説しました。問題社員の存在が明らかになった際、企業側はなるべく早期に対応するのが望ましいといえます。

次に、問題社員に対する対処が遅れることの危険性についてもお伝えします。

企業の規律が乱れるリスク

問題社員の存在が周囲の社員に悪影響を及ぼすおそれがあります。

問題社員の規則違反や能力不足などに対する対処が遅れた際に、周囲の人間が企業に対して不満や不信感を抱く可能性があるためです。周囲の社員のモチベーションが低下し、企業の生産性の低下につながる場合もあります。

問題社員の周囲の人間への影響によって企業の規律の乱れが懸念されるため、早期の対応が必要です。

問題社員が企業を攻撃するリスク

問題社員への対応が遅れた際に、問題社員の行動がエスカレートする可能性があります。

問題社員が企業から処分されないことに安心し、社内で横領や窃盗、情報漏洩などの犯罪行為に至った事例も多くあります。

企業自体の信用問題に発展しかねないため、早めに対策を進めることが望ましいでしょう。

問題社員が処分の不当性を訴えるリスク

問題社員への初期の対応が遅れた際、過去に適切な対応をとってこなかったことが企業にとって不利になる場合があります。

問題社員の行動が目に余った結果、解雇したとしても、これまでに改善のための指導や処分がされてこなかったことを理由に、解雇の不当性を訴えられるケースがあるためです。

企業の対応が遅かった場合、裁判で不利になることがあるため注意しましょう。

探偵が行う問題社員の素行調査でわかること

問題社員の存在によるリスクや対処する方法についてご紹介しました。

問題がある社員の存在が明らかになり、処分を進めるためには事実の確認や問題行動の証拠が必要です。

そのため企業が探偵に「問題社員の素行調査」を依頼することがあります。

問題社員の素行調査を探偵に依頼する場合、どういったことを確認できるのでしょうか。

問題社員の素行調査に関する代表的な調査内容について解説します。

過去の経歴

問題社員がこれまで起こしたトラブルや逮捕歴など、過去の経歴を調査します。

SNSや様々な媒体、各種データベースの照会によって問題社員の実態を明らかにします。

問題社員の人間性をより深掘りすることが可能です。

前職での勤務状況や評判

問題社員がこれまで勤めた企業の勤務状況の確認や周囲の人間からの評判などを確認します。

現在の企業で起きているトラブルと同様の問題を、前職でも起こしている可能性があります。

問題社員が自社へ入社する際に提出した履歴書や職務経歴書の内容に相違がないかを確認することも重要です。

現在の勤務状況や生活態度

問題社員の素行調査によって、現在の勤務状況や普段の生活実態を明らかにします。

勤務中の問題行動だけではなくプライベートにおける行動も調査するため、普段は目にすることのない裏の顔を確認する事が可能で、より本質的な人間性の把握につながります。

問題社員の素行調査の具体例

問題社員への対処法や探偵が行う調査について紹介しました。では具体的にどのような事例があるのでしょうか。

弊社が実際に対応したケースをもとに問題社員の素行調査の例を紹介します。

※守秘義務に反しないよう、内容の一部に改変を加えております。

【問題社員の実例1】

  • 対象者:営業部一般社員のBさん
  • 調査目的:職務怠慢の確認調査
  • 調査料金:80万円(経費別)
  • 調査内容:素行調査・前職の調査
  • 調査結果:証拠を揃えBさんへの懲戒解雇を決定

調査前の状況

依頼者企業であるA社の一般社員Bさんの勤務態度が悪く、たびたび無断欠勤を繰り返していた。A社は指導を繰り返し行ってきたが、改善せず、勤務中の怠惰な行動にも不信感が高まった。

Bさんが所属する営業グループのメンバーからも不満が高まり、グループ全体の士気低下を懸念したA社は弊社へ調査を依頼した。

調査開始

Bさんの行動を調査したところ、勤務中にパチンコ店やマッサージ店に出入りし、業務報告の虚偽も判明した。A社から追加調査を依頼された弊社は、さらにBさんの前職の勤務状況を調査。その結果、A社がBさんの採用時に確認していた職務経歴と、前職の就業期間や職務内容、業務成績等に相違があることが分かり、また前職でも数々の問題行動を起こしていた事実が同僚への聞き込み取材で判明した。

調査後、解決

A社はBさんを業務報告虚偽および就業規則違反、職歴詐称により懲戒解雇とすることを決定した。

【問題社員の実例2】

  • 対象者:技術職社員のBさん
  • 調査目的:問題行動の確認調査
  • 調査料金:50万円(経費別)
  • 調査内容:身辺調査・素行調査
  • 調査結果:証拠を揃えBさんへの懲戒解雇および損害賠償請求を実施

調査前の状況

依頼者はIT系の技術開発を行うA社であった。A社で技術職として勤務しているBさんの不審な行動についてA社の管理職にほかの社員から相談が寄せられたため、弊社へ調査の依頼をした。

調査開始

Bさんの身辺調査や素行調査により、Bさんと不審な人物Cさんとのつながりを発見。Cさんの身辺調査を行う。

その結果、CさんはA社の競合他社の従業員であることが判明。

調査後、解決

追加の調査により、BさんはA社の競合他社と以前から不適切な関係があり、A社の機密情報を漏洩させていたことが判明。

A社はBさんを秘密保持義務違反により懲戒解雇とすることを決定し、損害賠償請求を行った。

まとめ

問題社員の特徴や対処法、対処が遅れるリスク、問題社員の素行調査の具体例をご紹介しました。

問題社員の存在が明らかになった際には、早期の指導や対策が必須といえます。

問題社員の影響による企業の生産性の低下や信頼の喪失など、トラブルが大きくなる前に対処を進めることが望ましいでしょう。

日本では問題がある社員だとわかっていても、簡単に辞めさせることができません。

辞めさせるにいたる理由と証拠が必要だといえます。

企業にとって有利な証拠を得るために問題社員の行動を調査する際には、探偵に相談することをおすすめします。

企業調査のご相談・お問い合わせ
  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る