覆面調査を利用してみたいが、詳細がわからないので迷っている
調査を依頼したことがなければ、どのような流れで調査が行われるのか、求めるような質の高い調査結果が得られるのか、疑問や不安を抱く方もいらっしゃるでしょう。
最近売り上げが落ちている、リピーターの数が増えない、ネットでの口コミ評価が低いなど、集客に悩む方が講じる手段として覆面調査が挙げられます。
覆面調査は、自社商品やサービスの現状を把握し、改善をすすめるための有力な手段です。
調査によって、顧客目線での問題点や課題が見え、改善への足がかりとして利用できます。
この記事では、覆面調査をはじめ企業調査に長年携わってきた探偵が、覆面調査の流れやメリットとデメリット、質の高い調査結果を得るためのポイントなどを解説します。
- 店舗のチェックに覆面調査は有効
- 覆面調査の調査員に依頼主の要望が正確に伝わらない危険性がある
- 覆面調査は、調査のプロである探偵が直接ヒアリングする探偵事務所に依頼するのが確実
目次
1.覆面調査とは
覆面調査とは、専門の調査員が客として店舗を利用し、接客サービスや衛生面、営業スキルなどの実態を調査・報告する業務です。
会社本部による視察が行われる場合もありますが、その時は従業員も意識しますので、実態の把握には効果的とはいえません。
そこで第三者の目で通常行われている業務を調査し、評価・改善をする必要があります。
覆面調査というと、小売店や飲食店をイメージしますが、最近では美容院やスポーツジム、電話応対などのサービス業でも利用され始めています。
2.覆面調査のすすめ方
覆面調査は外部の覆面調査会社に依頼し、以下の流れで調査を進めます。
(1)調査内容の設計
依頼主の意向をふまえて次のような内容を具体的に設計します。
どのような調査を行うか | 調査する項目や回数、時期や時間帯など |
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誰が調査するのか | 調査員の条件 |
評価基準 | 誰の目線で評価するのか・・・30代女性で主婦、50代男性の会社員など |
(2)調査員の募集と研修
調査の内容に見合った調査員を募集し、採用した調査員に必要な事項を研修します。
(3)調査の実施
与えられた調査項目に基づき、実際に客として利用し調査・評価します。
たとえば飲食店の場合、次のような評価方法です。
評価項目を5段階などで評価 | お店の清潔度は5段階で4、従業員の気配り具合は5、再来店の意思は4など |
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業務の流れ(オペレーション)の評価 | 入店時の従業員の対応や食事の提供時間、テーブルやトイレの清潔度などを前記の「〇評価項目を5段階などで評価」よりも詳細な事項をチェックする |
料理のチェック | 注文した商品が何分で提供されたかや味、値段の感想を記録 |
感想 | 良かった点、悪かった点を文章で具体的に記載する |
(4)結果報告・フィードバック
調査員の報告をまとめて調査報告書を依頼主に提出します。
調査を依頼した会社は報告書に基づいて社員と結果を共有し、業務の改善につなげます。
3.覆面調査のメリット
では覆面調査にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
(1)問題点を把握し、必要な改善策を判断できる
会社の視点ではなく、顧客の視点で具体的な問題点を明らかにできます。
問題点がわかればどの改善策が必要なのか明確になり、効率的にサービス改善につなげることが可能です。
(2)経営戦略に活用できる
調査を続けると、店舗や部門によって調査結果が異なることがわかります。
結果が悪かった部門や店舗に対して指導や改善の時間やコストを集中し、効率的に経営資源を投入することが可能です。効率的な投入で会社全体の顧客満足度の増加につながれば、ブランディングの構築にも貢献するでしょう。
(3)従業員を客観的に評価できる
覆面調査により第三者の目で客観的に従業員の能力を評価できます。
社内の評価だけでは評価者の好みや性格によって評価が偏る危険性があります。利害関係のない調査員の評価は偏りやひいきが生じにくく、本来の能力を測定することが可能です。
公平な調査により能力に基づく人事評価につながれば、従業員のモチベーションアップや満足度の向上が期待できます。
(4)競合他社の実態を把握できる
ライバル会社の実態を調査すれば、自社に足りない商品やサービス、自社の強みや弱みなどを把握し、商品やサービスを改善できます。
またライバル会社が取り組んでいないサービスを導入し、ライバルとの差別化をはかることもできるでしょう。
4.覆面調査のデメリット
逆に、覆面調査が抱えるデメリットは次のとおりです。
(1)依頼主の要望と調査の内容に食い違いが起きやすい
デメリットの一つは、依頼主の要望と調査内容がズレて、満足のいく調査結果が得られないリスクをはらんでいる点です。
ズレが生じる理由は、調査内容が実際の調査員に届くまで複数の過程を経るからです。
調査内容を設計する際には依頼主と覆面調査会社の担当者で調査を計画し、研修によって調査内容がアルバイトの調査員に伝えられます。
しかし調査員自らが直接依頼主から要望を聞いているわけではありませんし、調査員の研修を担当する人も依頼主からヒアリングした人間が直接担当するとは限らないでしょう。
伝言ゲームで見られるように複数の人間を経由すると、本来の意図が末端の調査員まで正確に伝わらない危険性が高まります。
依頼主の要望と調査員の認識とのズレは、複数の過程を経ると構造的に避けられない問題と言えるでしょう。
(2)調査員のクオリティがまちまち
調査員は通常、アルバイト募集で集まった一般人です。
覆面調査に慣れたベテランから、調査の質に問題がある人、あるいはほとんど仕事をしない人も含まれ調査員の実態は様々です。
調査の質がバラバラだと、必ずしも期待する調査の質を担保できない可能性があります。
(3)会社への不信感や従業員との亀裂をうむ危険性がある
覆面調査がバレてしまうと、従業員から反発を受ける可能性があります。調査は従業員に知らせずに行いますので、調査の事実を公表するタイミングに気を使うことが重要です。
また覆面調査の事実を伝える際に、「商品やサービスの向上」が調査の目的であると理解を得る必要があります。調査中は、従業員に絶対に気付かれてはなりません。
ところが覆面調査員の態度が普通の顧客と比べて不自然だと、「この人は覆面調査員なのではないか」と従業員が感づくケースは多いようです。感づかれると、従業員の間で「会社は覆面調査しているのではないか」との疑念が芽生え、またたく間に広がります。従業員からすれば、あまりよい気はしないでしょう。
さらに不手際やミスにより調査公表の前にバレたら、「我々のあら探しをしている」、「会社が仕事ぶりを監視している」と従業員から反感を買う事態になるでしょう。
(4)バレるような調査を依頼する会社への失望
覆面調査がバレた場合、不信感だけでなくバレるような調査をした自分の会社への失望も広がります。
「どうせ調査費用をケチって料金の安い会社を使ったんだろう」とか「バレてしまうような調査しかできないわが社は何なの?」など、従業員と会社の溝はより深くなるでしょう。
5.覆面調査の質を確保するためには
時間と費用をかける調査ですので、質の高い調査結果を得たいと思うのは当然です。
ただ前述のとおり、依頼主の要望とアルバイト調査員の認識のズレに関して避けられない要因や満足のいかない結果になるリスクがあります。
では依頼主の要望と調査内容の食い違いを防ぎ、調査の質を確保するためにはどうすればいいのでしょうか。
最も確実なのは、調査を担当する人間が直接依頼主とヒアリングを行う方法です。
6.覆面調査を担当する人と直接打ち合わせができるところに依頼するのが確実
当事者同士で打ち合わせをするのが、食い違いのリスクを軽減するには最適の方法です。
調査にかかわる会社のうち、調査する人間と依頼主が直接、打ち合わせできるのが探偵事務所です。
ただ、探偵事務所の中には、日常の調査であってもヒアリングをする職員と調査する探偵が異なる場合が見受けられます。これでは探偵事務所に依頼しても別の人間を介するので、探偵事務所に依頼する必要性はないかもしれません。
一方、探偵事務所の中には、調査を担当する探偵が直接ヒアリングする事務所もあります。
探偵事務所に覆面調査を依頼する際は、調査を担当する探偵と直接打ち合わせができるか確認することをおすすめします。
7.探偵による覆面調査とは
ここでは依頼を受けた探偵がどのように調査するのかを、調査に支障のない範囲で紹介します。
(1)張り込みで培ったテクニックにより調査がバレるリスクを軽減できる
探偵は張り込みで不可欠な周囲に溶け込むテクニックを身につけており、覆面調査の場面でも従業員から不信感を抱かれない存在でいることが可能です。
探偵の調査の一つに、調査対象者の動向や素行を追うために一定の場所に待機する張り込みがあります。
張り込みで重要になるのが周囲に溶け込むテクニックです。
もし周囲に溶け込めず、周囲の人間から警戒心を抱かれると、最悪の場合は警察に通報されて調査の継続が困難になります。
周囲に溶け込むテクニックは探偵にとって必要不可欠です。周囲に違和感のない存在でいられる探偵が調査すれば、覆面調査がバレるリスクを軽減できるでしょう。
(2)プロが行う聞き込みとは
探偵は、従業員に対して質問しなければならない調査でより力を発揮できます。日ごろから調査で聞き込みを行っており、経験が豊富だからです。
覆面調査では、通常のチェック項目の他に、依頼主が特別な質問を設けている場合があります。
たとえば「従業員に対してこんな質問をしてください」といった指示です。個別の指示は、特に依頼主が重要視しており、より深く知りたい点といえます。
質問がうまくできず、知りたい点を聞き出せていなければ、調査は不完全といえるでしょう。知りたい点に回答できているかが、調査の質を左右します。
ただ質問といっても、唐突にすると聞かれた方は違和感を感じるので、思っているほど簡単ではありません。
不信感を抱かれないためには、自然な会話の流れの中で聞きだしたり、質問しても不自然でないストーリーを事前に準備したりするのが不可欠です。
探偵は、身元調査の際に調査対象者の周辺人物へ聞き込みを行います。
その際「私は〇〇探偵事務所の探偵ですが、△△さんについてお聞きしたい」とたずねても答えてくれる人は皆無です。
そこで質問するのに不自然でないストーリーを用意して聞き込みを行います。
こうした経験を積み重ねている探偵であれば、より自然な流れの中で従業員に感づかれずに質問し、必要な答えを引き出せます。
(3)状況に応じたアドリブ調査も可能
調査のプロである探偵は、事前に打ち合わせしなかった項目でも、必要と判断すればより突っ込んで調査できます。
探偵は聞き込みの際に、聞くべき項目をすべて決めて臨んでいるわけではありません。聞きこみする相手の態度や距離感などに応じて臨機応変に質問項目をかえています。探偵の聞き込みは毎回アドリブなのです。
また不測の事態にも冷静に対応できます。
たとえば尾行の際には調査対象者が急にタクシーに乗るなど、想定外の動きをするケースが起こります。そんな時でも探偵は冷静に状況を判断して、最善の行動をとることができます。想定していない対応をアルバイトの調査員に求めるのはあまりにも酷でしょう。
8.まとめ
ここまで、覆面調査の流れやメリットとデメリット、質の高い調査結果を得るためのポイントなどを解説しました。
質の高い調査結果を求めるには、調査員が調査内容を正確に把握する点と調査員のクオリティが重要です。
覆面調査を担当する会社の中で、上記2つの要件を満たせる会社が探偵事務所です。
覆面調査を探偵事務所に依頼するとは想像もしていなかった方も多いでしょう。
探偵事務所では依頼主と調査担当者が直接打ち合わせできる事務所があり、調査は経験豊富なプロが担当します。
覆面調査を依頼する際は、覆面調査会社だけでなく、質の高い調査結果を得る条件を満たした探偵事務所を検討してはいかがでしょうか。