反社チェックを行う6つのやり方とは|チェック範囲や具体的な方法を紹介

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企業におけるコンプライアンスの問題は、近年特に重要視されています。

そんなコンプライアンスの徹底において欠かせないのが、反社チェックです。

反社チェックを欠かさず行うことは、企業の維持と発展のためにとても重要となります。

そこで今回は、反社チェックの範囲や具体的な方法について詳しくご紹介していきます。

反社チェックとは

具体的な調査範囲や方法を確認するにあたり、まずは「反社チェックとはなにか」を確認します。

企業が活動をするうえで、株主・役員・社員といった会社の構成員は欠かせません。また、当然会社である以上、取引の相手方となる取引先との関係が生じます。

このような、企業が運営をする上で関わりをもつことになる相手の中に、反社会的勢力のものがいないかを確認することを「反社チェック」と呼びます。

反社会的勢力との関係をもたないことを目的とするため、コンプライアンスにも関連します。そのため、別名「コンプライアンスチェック」と呼ばれることもあります。

反社チェックを行う理由

反社チェックには、多くの手間や費用がかかることがあります。

それにもかかわらず、反社チェックは欠かすことのできない重要な作業と考えられています。

なぜ、それほどまでに反社チェックは重要視されているのでしょうか。

ここでは、会社が反社チェックを行う理由をそれぞれ具体的に確認していきます。

企業を存続させるため

反社チェックを行うもっとも重要な理由に、「企業の存続」があります。

もしも、企業が反社会的勢力と関係を持っていることが発覚した場合には、企業の存続が難しくなります。

地方公共団体が定める条例のなかには『暴力団排除条例』というものがあり、この条例は一般の市民が反社会的勢力と関係をもつことを禁止する条例です。

2024年現在、暴力団排除条例は全国すべての都道府県において制定されています。

もしこの条例に違反をして、反社会的勢力と関係をもった場合には、勧告が行われます。

そして、勧告に従わなかった企業には、警察ホームページに事業者名が公表されるといった措置がとられることを定めている自治体があります。

また、懲役や罰金といった罰則を設けている自治体もあります。

企業が反社との関係をもったことを理由に、こういった勧告や公表、罰則を受けてしまうと、企業の信用は失墜します。

信用が失われたことが原因で、銀行からの融資を打ち切られたり、取引をしていた相手との契約が打ち切られることもあります。

さらに、上場会社や上場を予定していた会社であれば、上場は廃止されます。

こういったことが起こると、安定して企業の存続をすることが困難になります。

企業の存続に関わる重大な問題を防ぐことは、反社チェックの重要な目的のひとつです。

反社会的勢力に資金が流れるのを防ぐため

反社会的勢力に資金が流れるのを防ぐことも、反社チェックを行う理由のひとつです。

反社はさまざまな方法によって資金調達を行い、組織の発展・維持をしています。

もし、会社が関係を持つことによって反社に資金が流れてしまえば、意図するか否かとは無関係に、間接的に反社会的勢力の発展・維持に貢献をしていることになってしまいます。

コンプライアンスの徹底と社会的責任のため

反社チェックは、コンプライアンスの徹底と社会的責任のためにも行われます。

コンプライアンスの徹底は、法令・条例違反による損失を防止することに繋がります。

反社会的勢力と関係をもつことは、法令・条例違反に該当する行為です。

そのため、コンプライアンスを徹底するためには、反社チェックが必要不可欠となります。

さらに、反社会的勢力との関係がないことを確認することによって、企業の社会的責任を果たすことができます。

「企業の社会的責任」とは、「企業活動をする上で、社会的公正や環境への配慮を組み込み、社員や社会などの関係者に対して責任のある行動をとることを求める考え方」のことです。

社会的責任を全うすることで、社会的な信用を得ることができ、「信頼できる企業」というブランディングを築くこともできます。

不当な要求や恐喝などのトラブルを防ぐため

反社チェックを行うことによって、不当な要求や恐喝などのトラブルを防ぐこともできます。

反社会的勢力は、何らかの理由をつけて、不当な要求や恐喝を行うことも想定されます。

たとえば、資金を得る目的で反社会的勢力から融資を受けてしまうと、反社会的勢力はそのことを理由に法外な要求を行ったり、応じない場合には恐喝をしたりといった行為に走るかもしれません。

法外な行為であれば、適正な手続きをとることで対処できるかもしれません。

しかし、実際に問題は解決できても、反社会的勢力と関係を持っていた事実が明るみになり、信用を失う可能性があります。

また、反社会的勢力から恨みを買ってしまうかもしれないといった二次被害のおそれもあります。

そもそも、反社会的勢力と関係を持たなければ、こういったトラブルが発生することはありません。

これらのトラブルを未然に防ぐことも、反社チェックを行う理由です。

反社チェックの方法

ここまで反社チェックの定義やその目的について確認しました。

反社チェックは、企業の存続や発展をさせる上で重要な工程であることがわかりました。

ここからは、実際に反社チェックを行う方法をご紹介します。

新聞記事を調べる

まず考えられる調査方法が、新聞記事を調べることです。

新聞記事には、発行された当時のニュースが掲載されています。

企業や特定の人物に不祥事があれば、その内容は新聞記事に掲載されている可能性が高いです。

そのため、過去の新聞記事を確認することによって、調査対象者が過去に不祥事を起こしていないかを調べられるかもしれません。

過去の新聞記事を調べるためには、データベースシステムを活用するのが有用です。

新聞記事のデータベースシステムを活用すれば、過去に出版された記事の中から、企業名や人物名など、特定のキーワードで検索することができます。

新聞は噂程度の内容は基本的に取り上げないため、情報の信憑性は高いといえます。

しかし、その反面、広範囲に調査を行えないというデメリットがあります。

不祥事があった際に掲載がされるのは、世間に影響を与えるほどの企業や人物に限られます。

反社チェックの対象者が著名な企業や人物でなければ、反社との関係があったとしても、その事実は新聞に取り上げられないかもしれません。

特に、会社の一般社員に対して反社チェックを行う場合には、新聞記事からの調査は困難です。

商業登記情報を集める

取引先などの「企業」を対象とする場合には、商業登記情報を集めることによって、反社チェックを行うことができるかもしれません。

商業登記情報に不祥事の内容そのものが記載されているわけではありません。

しかし、登記情報に記載されている情報から、不祥事がないか辿ることができるかもしれません。

商業登記情報には、社名・所在地・役員の氏名などといった会社の情報が多く記載されています。

たとえば、この社名や所在地が頻繁に変更されている場合には注意が必要です。

実際に、不祥事を隠す目的で、社名や所在地を何度も変更している会社があります。

当然、事業拡大や経営責任者の交代など、理由があっての変更である場合もありますが、不自然に何度も変更されている場合には警戒しましょう。

直接的に反社との関係を調べることは難しいかもしれませんが、登記情報を調べることによって、不自然な点をあぶり出すことができます。

その不自然な点を辿ることによって、結果的に反社チェックができるかもしれません。

インターネットで検索する

もっとも手軽な方法が、インターネットでの検索です。

インターネットと新聞記事の違いは、情報量です。

インターネットには、幅広く膨大な情報が掲載されています。

新聞記事は噂程度の情報は基本的に掲載せず、また、掲載をする対象も世間に影響力のある会社・人物に限られます。

一方で、インターネットには噂程度の情報から新聞やニュースに掲載されるような信憑性の高い情報まで、膨大な情報が掲載されます。

また、対象となる会社・人物も、著名なもののみに限られません。

そのため、調査できる情報が新聞記事よりも幅広く、反社チェックを行いやすいというメリットがインターネットにはあります。

しかし、その一方で、「情報の信憑性が低い」というデメリットがあります。

インターネットは誰でも情報を掲載することができます。

誰でも情報を掲載することができるということは、その分情報の信憑性は下がります。

近年でも、インターネット上のフェイクニュースは大きな問題となっています。

反社チェックをするためにインターネットを活用して、実際に対象者と反社会的勢力との関係が疑われる情報がヒットしても、その情報自体の信憑性が低い可能性があります。

これらの対策は、「インターネットで書かれている情報のみでチェックを行わない」ということです。

この点を押さえてうまく活用すれば、インターネットは手軽に多くの情報を収集できる利便性の高いツールになります。

専門の調査会社に依頼する

専門の調査部門がない会社の場合は、自社での調査が困難かもしれません。

そんなときには、信用調査会社、探偵、興信所といった、専門の調査会社に依頼をするというのもひとつの方法です。

専門の調査会社であれば、独自の調査方法や情報網、データベースを活用して、一般企業では調査ができない範囲の情報までチェックをすることができます。

自社で調査をする場合に比べて費用はかかってしまいますが、より確実に精度高く反社チェックを行えます。

より確実に調査を行いたい場合には、専門の調査会社への依頼も検討しましょう。

 業界団体のデータベースで検索する

業界団体のデータベースで検索をして、反社チェックを行う方法もあります。

「業界団体のデータベース」とは、特定の業界の団体に関連するデータを収集して保存をしているデータベースのことです。

それぞれのサービスによって異なりますが、企業名、連絡先情報、代表者情報、業績データ、その他の運営に関するデータなど、多くの情報を入手することができます。

業界団体のデータベースを活用することで、調査対象となる企業の詳細な情報を確認することができます。

ここから得た情報をもとに、反社会的勢力との関係性の有無やその他の不祥事についての情報を得ることができるかもしれません。

警察・暴追センターに問い合わせる

反社チェックをするにあたり、警察・暴追センターに問い合わせるという方法があります。

警察は反社会的勢力に関するデータベースを保有しています。

このデータベースから照会を行うことで、反社チェックを行うことが可能です。

しかし、これらの警察保有のデータベースに一般の企業がアクセスすることはできません。

情報提供を受けるためには、警察や暴追センターに依頼をして、承認される必要があります。

依頼をしたからといって必ず情報提供がされるわけではなく、必要性が高いと判断された場合にはじめて情報提供がされます。

実際には、個人情報保護や守秘義務の関係から、情報提供を受けることは難しい傾向にあります。

著しく反社会的勢力との関係がうかがえるなど、情報照会が必要であると認められるほどの合理的な理由がある場合に限り、この情報をとることができます。

どこまで必要?反社チェックの範囲

調査を行うにあたっては、まずは調査対象者を絞り込む必要があります。

反社チェックを行う場合には、どこまでの範囲で調査を行うべきなのでしょうか?

調査対象として考えられるものをそれぞれご紹介していきます。

企業全体

まず考えられるチェック対象は、企業全体です。

企業全体を調査をすることになるのは、主に取引をする際の相手企業です。

企業が反社と関係を持つパターンには、「その企業が反社と何かしら関係を持っている場合」と「運営元が反社である場合」があります。

いずれのパターンであっても、反社と関係のある企業と取引をしてしまうと、結果的には自社に大きな損失を生じさせてしまいます。

取引をする際には、企業に対しての反社チェックを欠かさないように心がけることが大切です。

株主

次に考えられるのが、自社の株主です。

株主は議決権を有しているため、その株主が反社であった場合、経営に関して何らかの不利益が生じるおそれがあります。

特に、大株主であった場合には、会社の経営に関して大きな権限を有することになるため、より厳重にチェックを行う必要があります。

役員・社員

自社の役員・社員に対しても反社チェックは欠かせません。

「役員」とは、「取締役・会計参与・監査役」を指し、直接的に会社の経営を担う重要なポジションです。

もしこの役員が反社と関わりを持っていれば、実質的に反社が会社の経営を担うという実態になる可能性があり、会社の信用度は一気に下落します。

こういった理由から、役員に対する反社チェックは重要です。

また、労働者である社員への反社チェックも必要です。

一般的な社員に会社の経営権はありませんが、社員は企業の運営を担う一員です。

そんな社員が反社と関わりを持っていれば、資金横領や情報漏洩など、何らかのトラブルが生じてしまうかもしれません。

反社チェックのタイミング

ここまで、反社チェックの具体的な方法をご紹介しました。

具体的な方法を知ることも大切ですが、反社チェックを行うタイミングも重要です。

反社チェックに最適なタイミングをご紹介します。

取引を始める前

反社チェックのタイミングは、「取引を始める前」が一般的です。

反社チェックを行う最大の目的は、「反社会的勢力と関係を持たないようにするため」です。

もしも、取引開始後にチェックを行い、その結果、取引相手が反社であることが後から判明しても手遅れです。

相手が反社であることを証明できれば、途中で契約解除も可能ですが、余分な時間や費用がかかってしまいます。

特に、反社会的勢力が相手である場合には、その他のトラブルに発展してしまうおそれもあります。

取引を始める前に必ずチェックを行い、疑いが生じた場合には関係を持たないように、未然に防止することが大切です。

契約を更新する前

特別な事情がないかぎり、反社チェックは取引開始前に行います。

しかし、すでに契約を締結し、取引を行っている相手を対象に反社チェックをする場合があります。

たとえば、「会社の規模拡大とともに厳重に反社チェックを行うようになった」、「途中から相手に反社の疑いが生じた」などがこのパターンに該当します。

すでに締結している契約を途中で打ち切ってしまうと、トラブルに発展してしまうかもしれません。

そのため、反社チェックを行う場合には、契約の更新前に行うことによって、トラブルを回避することができます。

反社チェックのポイント

実際に反社チェックを行うにあたり、いくつかのポイントがあります。

方法やタイミングを押さえるだけでも反社チェックは可能ですが、ポイントを押さえることによって、反社チェックはさらに有効になります。

反社チェックを行う上でのポイントをご紹介します。

定期的にチェックする

反社チェックを行う上でのポイントは、「定期的なチェック」です。

反社チェックは一度行えばよいわけではありません。

チェックを行った段階では問題がなくても、途中から対象者が反社と関わりを持つこともあります。

特に、対象者の状況に変化が生じた際にはチェックを行うよう心がけましょう。

たとえば、これまで取引をしていた相手企業の運営形態が変わったり、何度も所在地や代表者を変更していたりと、何らかの動きがあった場合には確認をするようにしましょう。

調査の証拠を保管する

反社チェックを行う場合には、その調査の証拠を保管しておくこともポイントです。

たとえば、取引先の企業が反社と関係を持っていることが発覚した場合、契約の解除が考えられます。

原則として、一方的な契約解除は合理的な理由がある場合にのみ認められます。

この際に、「反社と関わりがあった」という証拠を提示することによって、合理的な契約解除が認められます。

トラブルが発生した場合に備えて、反社チェックを行う場合には、調査の証拠を残すようにしましょう。

私情を挟まず客観的に見る

反社チェックで意識したいポイントが、「私情を挟まず客観的に見る」ということです。

特に、対象者が身内や親しい相手であった場合には、その関係性や信頼感からチェックを怠ってしまうかもしれません。

しかし、先にも述べたように、反社チェックは会社の維持や発展に欠かせない重要な作業です。

対象が誰であってもチェックを欠かさず、私情を挟まずに、客観的に調査を行うことがポイントになります。

取引先が反社チェックにひっかかったときの対処法

ここまで、反社チェックの詳細を確認してきました。

これらを押さえて反社チェックを行った結果、実際に取引先がチェックにひっかかってしまった場合はどのように対応をすればよいのでしょうか。

万が一チェックにひっかかっても、適切に対処を行うことで、スムーズに問題を解消できます。

想定される対処法を確認していきます。

取引をやめる

取引先が反社チェックに引っかかった場合には、取引を中止しましょう。

たとえその取引が自社にとって魅力的であっても、相手が反社であった場合は取引をするべきではありません。

先にも述べたように、反社会的勢力と関係を持ってしまえば、会社の存続が危ぶまれたり、信頼を失ったり、トラブルが起こったりと、多大なリスクが生じます。

取引をやめて、関わりを持たないように心がけることが、一番の対処法です。

警察や弁護士に相談する

相手が反社会的勢力であることが確認できた場合には、警察や弁護士に相談をしましょう。

各自治体は、『暴力団排除条項』といった条例を設けたりと、積極的に反社会的勢力への対策を行っています。

今後のトラブル予防や他企業への被害を防止するためにも、警察へ相談をしましょう。

また、反社チェックにひっかかったことを理由に取引を中止したことで、トラブルに発展した場合には、弁護士への相談がおすすめです。

相手が「一方的な契約解除は認めない」などと主張をしても、反社と関わりのあることが証明できれば、合理的な理由として契約解除は有効になります。

証拠を揃えた上で、弁護士が適切に対処をすることによって、問題の解消をはかることができます。

取引先の役員が反社会的勢力と関わっていた事例

ここでは、取引先担当者の反社会的勢力との関りを調査した事例を紹介します。

※なお守秘義務に反しないよう、内容の一部に改変を加えております。

依頼者 金融系企業A社の担当者
対象者 取引先B社の役員C
依頼内容 Cが反社会的勢力と関わりを持っているという噂が業界内に流れだしたことから調査依頼
調査内容 反社チェック・該当する事項の裏付け調査・人物の素行調査
調査期間 20日間

金融系企業A社は長年、B社と懇意に取引をしていました。

しかしある時期から、B社の役員Cが反社会的勢力と関わりを持っているという噂が業界内に流れだしました。

A社が独自で調べた結果、噂の信憑性は高いと判断しました。そこで、次回の契約を更新する前にA社は専門の調査機関にCの反社チェックを依頼することにしました。

調査の結果、噂は真実でCの問題が数多く発覚し、このことを理由に、A社はB社との契約更新を打ち切りました。

B社はこれに異議を唱えましたが、A社は調査機関が収集した証拠をエビデンスとしてB社と協議を行い、最終的にB社は契約打ち切りに同意をしました。

B社との関係を断ち切ったことで、A社は風評被害やその後起こり得る問題のリスクを回避することができ、その後も会社を維持、順調に業績を伸ばし続けることができました。

まとめ

今回は反社チェックについてご紹介しました。

反社チェックは、企業の維持・発展に欠かせない重要な作業です。

実際に反社チェックを行う際には、チェックをする範囲や具体的な方法を知り、適切に対処をすることが大切です。

自社でのチェックが困難な場合や、より正確にチェックをしたい場合には、専門の調査機関への依頼がおすすめです。

予算なども踏まえた上で、反社チェックの方法を検討しましょう。

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