「保険金の不正受給の確認」探偵の調査方法とは

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ポイント
  • 探偵と保険会社の調査員では調査する内容が異なる
  • 探偵が普段行っている行動調査と不正受給の確認手法は似ている
  • 得意な分野で調査手法を発揮できる探偵事務所に調査を依頼するのが効果的

保険制度は、保険契約者に対する性善説をもとに設計されています。

一部の不正受給者を放置してしまうと、不必要な保険金が支払われ、結果善良な保険加入者の保険料が上昇するだけでなく保険制度自体の存続にもつながる深刻な問題です。

ところが保険金の不正受給の事件が後を絶ちません。

2021年9月16日付け朝日新聞に、2015〜19年に全国の警察が摘発した交通事故関連の保険金詐欺事件は計868件で、被害額は約1億8000万〜3億5000万円前後で推移していると報道されました。

事故の発生状況については、ドライブレコーダーの普及や防犯カメラの設置により正確に把握できるようになりました。

一方、保険金の不正受給に関しては最新の技術だけでは完全に解明できず、今でも人によって、不正受給の疑いのある人間を調査する必要があります。

ではどのようにして不正受給の確認調査をおこなっているのでしょうか。

ここでは、素行調査をメインとした保険金の不正受給の確認に長年携わってきた弊社の探偵が、調査方法や解決事例などを解説します。

保険金の不正受給とは

保険金の不正受給とは、本来保険金を受け取る資格がないにもかかわらず虚偽の申告をして不正に保険金をだまし取ろうとする行為です。

もし保険金の不正受給が発覚すると刑法の詐欺罪に問われ、有罪の場合10年以下の懲役に処せられます。

また詐欺によって手にした保険金は没収され、さらに追徴が課される場合もあります。

不正受給の対策

不正受給を防止するために次のような対策が講じられています。

(1)保険金不正請求ホットライン

保険金不正請求ホットラインとは、日本損害保険協会が2013年に設置しました。

不正な保険請求を見聞きしたり、疑われたりする案件の通報窓口です。

通報は匿名・実名のいずれでも可能で、電話やインターネットにて受け付けています。

(2)保険金請求歴および不正請求防止に関する情報交換制度

保険金請求歴および不正請求防止に関する情報交換制度とは、これまでの保険金請求履歴や不正請求等について損害保険会社が相互に情報交換を行う制度です。

膨大な情報を統合して不正請求の共通点などを把握し、公平・公正な損害額算定や適正な保険金支払いに役立てています。

(3)AIによる不正請求検知システム

上記の制度によって集められたビッグデータをもとに、不正請求が疑われる案件をAI(人工知能)が自動的に検知します。

保険金の不正受給確認の調査方法

保険金の不正受給が疑われた場合、その人物に対する素行調査を開始します。

素行調査とは、不正受給が疑われる調査対象者の行動を観察していく中で虚偽の申告がないか確認を行い、虚偽が認められた場合はその様子を証拠として映像などの形で記録します。

探偵は次のような行動調査を用いて素行を調べます。

(1)張り込み

張り込みは、家の周辺など一定の地点から不正受給が疑われる人物を監視し、普段の生活の中から申告内容に虚偽の事実がないかを調査します。

探偵からはよく見えるが、対象者からは死角になる場所を張り込みの場所として選定する、対象者や近隣住民から怪しまれないようにふるまうなど、子細にわたる配慮と経験が要求されます。

(2)尾行

対象者が外出した場合、外出先での様子を監視するために後をつける調査です。

不正受給者は、自宅周辺ではバレないように注意していても、外出先では警戒が緩む場合が多々あります。

これまで尾行中に次のような事例に遭遇しました。

  • 首や背中の痛みで立ち上がるのもつらいはずだったはずだが、毎日パチンコ屋に出入りしていた
  • むち打ちのため着用していたコルセットを外して、ゴルフの練習をしていた
  • 普段は車いすを使っているにもかかわらず旅先では自分の足で歩いていた

など、疑わしい事実を確認した場合はすぐにその様子を記録していきます。

(3)聞き込み

対象者の職場や近所の人などの関係者から情報を聞き出します。

ただ見知らぬ人物からいきなり質問されても不審がられてしまい、答えてくれる人は皆無でしょう。

また、調査されている件を対象者に伝えられてしまえば元も子もありません。

そのためどのような態度で接すれば信頼を得られるか、どのように質問すれば自然に相手が答えてもらえるのかなどのテクニックを駆使して調査を行います。

探偵の身分を明かさずに情報を引き出すのは最も経験が必要な調査となりますので、聞き込みは探偵の真の実力が問われます。

不正受給者の素行調査は探偵が最も得意とする分野

保険金の不正受給を確認する素行調査は探偵が最も得意とする調査です。

探偵も保険会社の調査員も調査のプロですが、行っている調査は内容や種類が異なります。

保険会社の調査員は、妥当な保険金額を判断するために事故現場で状況を調査したり、医療機関を訪れ、診断書などからケガの状況を把握したりします。

一方探偵の不正受給者への素行調査は、事故やケガの状況ではなく申告内容に偽りがないかを確認する調査ですが、その方法は行動調査です。

保険会社の調査員でも不正受給の調査を行う場合もあるでしょうが、その際に行動調査する機会はほとんどないでしょう。

探偵は、普段から様々な業務において行動調査を行っています。

行動調査に基づく不正受給の確認は、探偵にとって最も得意な分野であるといえます。

行動調査による不正受給の確認と浮気調査の共通点

探偵が行う行動調査の代表的なものといえば浮気調査が挙げられます。

実は、行動調査による不正受給の確認と浮気調査には数多くの共通点があります。

具体的には次のような点が挙げられます。

(1)調査の目的

浮気調査:不貞行為の事実を確認し、証拠をおさえる

不正受給の確認:虚偽申告の事実を確認し、証拠をおさえる

(2)調査の方法

浮気調査:行動調査(張り込み・尾行・聞き込みなど)

不正受給の確認:浮気調査と全く同じ

(3)調査報告書の扱い

探偵は、裁判の際に証拠として採用されるクオリティーをもった調査報告書を多数作成しています。

浮気調査:調査報告書が、慰謝料の請求や離婚裁判など法的な対応の証拠となる

不正受給の確認:調査報告書が、保険金支払いの停止や詐取した保険金の返還などの契約に基づく対応や、詐欺罪での告訴などの法的措置を取るための証拠となる

行動調査を探偵に頼むと良い理由

探偵は、探偵業ならではのノウハウと方法で調査を行いますが、不正受給者の行動調査を探偵に依頼すると良い理由とは何なのでしょうか。

(1)想定外の事態にも対応できる綿密な調査計画がある

探偵が調査を開始する前には綿密な調査計画を作成します。

この計画に基づいて調査を実施しますが、調査中は様々なアクシデントがつきものです。

このため想定外の事態を見込んだ計画を策定し、発生してもすぐに問題なく対応できるように計画を練り上げています。

(2)チームで行う

探偵事務所では通常2人のチームで調査を行います。

複数人が対応すれば対象者を見失う可能性も低くなりますし、様々な角度から対象者の行動を映像に収めることもできます。

(3)調査のノウハウを熟知している

探偵は様々な状況に対応して確実に証拠を得るためのノウハウを熟知しています。

張り込みといってもただ待っていればいいわけではなく、尾行と言ってもただ対象者の後ろを歩いていればいいわけではありません。

張り込み場所の選定や、尾行においての違和感のない変装や相手との間合いの取り方など、これまでの経験やノウハウを活かして最善の方法で臨みます。

(4)証拠を確実にものにできる撮影技術がある

探偵は困難な状況でも撮影する技術を持ち合わせています。

調査中のシャッターチャンスはほんの一瞬で、その瞬間を逃してしまえば、二度とチャンスは訪れないかもしれません。

また撮影できたとしても被写体がぼやけていて判明できなければ意味がありません。

探偵は、限られたチャンスを確実にものにしなければならない場面を数多く経験しており、必要な撮影技術にも精通しています。

(5)撮影に使用する機材が違う

探偵は調査中、特殊な機材を使用して撮影します。

調査中は対象者に気づかれてしまう恐れがありますので、おおっぴらに撮影している姿を晒すわけにはいきません。

どうしても隠し撮りをする必要がありますが、そのためには特殊な機材が必要です。

腕時計やペン型などの特殊なカメラや超小型高性能収音マイクを使用して誰にも気付かれないように証拠を確実にキャッチします。

探偵事務所による不正受給解決の事例

以下では弊社が担当した実例をご紹介します。

なお、守秘義務に反しない限度で改変しています。

(1)事件の概要

調査対象は20代後半の女性、Sさんです。

車を運転中に赤信号で後ろの車に追突され、救急車で病院に搬送されました。

背中の痛みと首の痛みによるむち打ちを訴え、医師により全治2週間と診断。

入院とまではならなかったものの治療やリハビリのため近くの整骨院に通院することになりました。

しかししばらく治療を継続してもSさんは痛みが取れない、首がまわらないと訴え治療を継続すると主張、休業補償の延長も申請してきました。

事故の状況から見てもここまで治療が長引くケースは通常ではありえない。

またこの整骨院は不正受給に関して過去に疑わしい事例もあり、疑念を抱いた損害保険会社からSさんに対する調査を依頼されました。

(2)調査の経緯から解決まで

まずはSさんの行動パターンを把握するために彼女のSNSをチェックしました。

仕事終わりのランニングが趣味で、これまで何回もフルマラソンを完走した様子などがSNSにアップされていました。

またミニチュアダックスフンドを飼っており、散歩をしている姿も数多く投稿されていましたので、外出や身体を動かすのが好きな女性と判断し、ゆえに治っているのであれば家に閉じこもっているのは苦痛なのではないか、いずれランニングや犬の散歩で外出するに違いないと考え、夕方を中心に張り込みを開始しました。

開始した翌日の夜7時ごろ、Sさんが家をあとにしましたのでそのまま尾行、最寄り駅近くのスポーツジムに入るのを確認します。

2時間後、ジムから出てくるSさんを引き続き尾行したところその日はそのまま帰宅しましたが、背中や首が痛い人はスポーツジムに行こうとするでしょうか。

ジムへの出入りの証拠はつかみましたけれども、運動している姿をおさえれば不正受給の証拠となります。

そこでSさんに怪しまれず近づけるよう、弊社の女性探偵を体験入店と称して投入することになりました。

それから3日後、再びSさんがジムに入ったのを確認し、すぐに女性探偵も入店。

予想はしていましたが、Sさんは普段はしているコルセットも運動中は着用していません。

女性探偵は周囲になじむよう、自分もトレーニングをしながらSさんを監視。

Sさんは、30分ほどランニングマシンで走った後、エアロビクスのクラスに参加しました。

女性探偵も参加し、Sさんが元気に動き回っている姿の隠し撮りに成功しました。

またレッスン終了後、女性探偵がインストラクターにさりげなく尋ねたところ、Sさんは毎週火曜と金曜の同じレッスンに毎回参加しており、ここ最近も休んでいないとの証言を得ます。

次のレッスンの日、女性探偵はSさんの真横に陣取り、さりげなく彼女と会話しました。

すると、先月交通事故に遭ったけれども大したケガではなかった、週2回はジムに行かないと逆に体の調子がおかしくなるなどの話を聞きだすことができました。

当然この会話内容も録音しています。

すぐに女性探偵はこの件に関する調査報告書を作成し、依頼主の保険会社に報告。

保険会社はこの報告書をもとに、女性に対する保険金支払いの打ち切りと支払った保険金の返還請求とともに、警察へ保険金詐欺の告発を検討しています。

まとめ

保険金不正受給確認の調査は探偵にまかせてみてはいかがでしょうか。

一向に減らない保険金の不正受給事件を防ぐために、確認調査による再発の抑止は非常に重要となります。

その中でも、実際の行動を目で見て確認する行動調査は、不正受給の実態を暴く最も有効な調査方法です。

探偵は、様々な業務で行動調査を行っており、最も精通しているといえます。

保険金不正受給でお悩みの方は、是非一度ご相談ください。

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