従業員・元従業員の裏切り行為の実態と最善の対処方法【探偵インタビュー】

記事更新日:

企業・組織にとって従業員はとても大切な存在です。組織は従業員との信頼関係によって成り立っているものですが、それが崩れることがあります。非常に残念なことですが、従業員や元従業員の裏切り行為によって組織が被害を受ける事案は珍しくありません。

今回は、組織で起きている従業員や元従業員による裏切りの実態について組織調査を行う現役探偵にお話を伺い、裏切りの起きやすい環境や裏切り行為を起こさせないための対策についても教えていただきました。

本日はよろしくお願いします。

よろしくお願い致します。

企業・組織内の従業員の裏切り行為によって組織が被害を被ることについて教えていただきたいのですが、従業員の裏切りとはどんなものがあるのでしょうか。

悪事に大小をつけるものではありませんが、従業員の裏切り行為には些細なものから社会的信用に影響を及ぼす大きなものまでさまざまあります。

まずひとつが横領行為ですが、これには二種類ありまして、ひとつは組織の金品を自分のものにする横領です。備品を持ち帰るといった軽微な犯罪もあれば、大きなお金を着服しているケースもありますね。

もうひとつは業務上横領で、これは会社での自分の立場や会社の信頼を利用した横領犯罪です。金融機関に従事する従業員が、顧客の預金に手をつけるなどがこれにあたります。信頼を悪用した上、横領犯罪を犯すわけですからかなり重い犯罪ですね。

横領事件はニュースなどでも目にすることがありますね。

規模によっては大きな事件として注目されます。また横領以外に情報の流出という裏切りがあります。

企業・組織は利益を得るためにさまざまな機密情報を抱えているのですが、それを従業員が組織に背いて外部に流出するといった裏切り行為があります。

なるほど。組織の機密情報とは例えばどのようなものでしょう。

一例ではありますが、組織独自のノウハウや販売・仕入れルート、そして顧客や取引先の情報がそれにあたります。これらはすべて組織を支える大切な情報ですから、流出したときのダメージは計り知れません。

組織の収益損害はもちろん、個人情報の流出であれば流出した本人だけでなく、それを許してしまった企業・組織も訴訟によって責任を問われることがありますから、大きな問題です。

それは大変なことになりますね。退職した従業員が同僚を引き抜く行為も裏切り行為にあたりますか。

そうですね。組織にとって人材は何よりも大切な財産のひとつです。能力のある優秀な人材が流出することは組織にとって大きなダメージといえるでしょう。

もちろん、労働者個人には働く場所を選ぶ自由がありますから、自分の意志で仕事場を移ったと言われてしまえばそれまでです。しかし、同時期に複数の人員が移動するなど明らかに悪質な事例は不法行為とされることがあります。

また、元従業員の引き抜きトラブルでは、顧客の引き抜きという裏切りもあります。独立に際して、元々自分がいた組織が抱えていた顧客を引き抜く事例は珍しくありません。

これは競業避止義務に抵触する行為ですが、実際にはあまり機能せず裏切られた組織がただ悔しい思いをしているケースが多くみられます。

顧客を持っていかれたら、組織の痛手は大きいでしょうね。

はい。従業員の裏切り行為は組織存続に影響を及ぼすこともありますので、できる対策はしておくことをおすすめします。

従業員の裏切りを未然に防ぐための対策や、裏切り行為があると感じたとき、企業・組織はどのような対処をとれば良いのでしょうか。

未然に防ぐための対策として組織としてやるべきことは、早期発見と裏切りを作らない風土作りですね。

調査で裏切り行為につながる行動を早期発見するのがひとつです。具体的には定期的に従業員に面談を行い従業員の状況を把握する方法があります。そこで、要注意人物が挙がればその人物の素行調査をして行動把握をしておくと裏切りが未然に防げたり、小さいうちに納めることができる可能性が高まります。

ほかにも、人事異動のタイミング、特に役員など重要な任務に昇進させる前の素行調査が有用です。仕事ができることと、問題行動があるかどうかは別のことです。

仕事でしっかりした様子であっても、プライベートでは社会に反する行動があったり、個人的に大きな問題を抱えている人が実際に存在します。それを見逃してしまえば取り返しのつかないことになりかねませんので、借金や異性問題などプライベートで問題を抱えていないかや、反社会的勢力やライバル社とつながっていないのかといったことを事前に確認することをおすすめしています。

素行調査を実施することで昨今問題になるハラスメント気質についても見えてくることもありますね。仕事中だけではわからない人物像がわかれば、組織としても不安が小さくなるのではないでしょうか。また、そうやって、裏切り行為に目を光らせているという姿勢を組織が見せることで、組織内に裏切りを作らない雰囲気を作っていきます。

社内に調査が入っていると聞くと、従業員側はあまりいい気がしないのではとも思えますが、そのあたりはいかがでしょうか。

従業員が調査を受けると考えると疑われているようにも思えますが、自分たちの組織を守りクリーンな職場を維持するために調査はとても大切だと意識付けすると考えてはいかがでしょう。定期的に調査を受けているということは、組織側が従業員の身の潔白を常に証明してくれていることにもなりますからね。

そんなことから探偵事務所と顧問契約して健全な組織作りに役立てている組織もありますよ。

探偵事務所のお話が出ましたが、調査のプロである探偵に依頼した場合、具体的にどんな調査をお願いできるのでしょうか。先ほどお伺いした中でも、組織だけで対応出来ることとなかなか簡単ではないこととがあるように思えるのですが。

従業員の裏切り行為について探偵が行う調査には、「行動調査」「データ調査」そして「聞き込み調査」があります。

まず行動調査ですが、ここでは尾行や張り込みをして該当人物の普段の行動を調査するものです。撮影を含めた調査記録から該当人物の行動がわかりますので、意外な裏の顔や仕事中には知らなかったことが出てくることがあります。

これと並行して聞き込み調査を実施することで、人物把握の精度は高まります。聞き込み調査では、人物の過去の経歴が本人の申告と一致しているかどうかや、関係者が該当人物をどう見ているかを知ることができます。該当人物の本音や真意が知りたいときにも利用できますね。

それはプロの探偵でなければ難しそうな調査ですね。データ調査はどういったことを行うのですか。

昨今では、誰でもネットを駆使すればSNSやメディアから情報を引っ張ることができますが、探偵社では独自の調査方法とデータを用いてさらに踏み込んで効果的な情報にアクセスします。一般的には調査の難しい、該当人物の経歴や現状に切り込んで、ほかの調査情報と合わせて精度の高い情報を得ていくのが私どもの実施するデータ調査です。

あらゆる角度から専門的にアプローチして必要な情報を収集してもらえるということですね。

そうです。実際のところ、どんなことにも多面性があるものです。人物像についても、ある面から見れば問題がないように思えても反対から見ると大きな欠点が隠れていたりします。

そこで調査のプロが丁寧に見ていくことで、見落としなく現状を把握することができるのです。

探偵を利用した裏切り行為の予防策があれば教えてください。

承知しました。私どもは従業員の裏切りを未然に防ぐための予防調査を実施しています。その実例でお話しますね。

ある総合商社がございまして、私どもはこちらと顧問契約いただき定期的な予防調査を実施しています。方法ですが、対象となる従業員を複数名ランダムに選びます。そして、行動調査や聞き込み、データ調査を実施していきます。あるとき実施した調査で対象従業員のひとりに疑わしい行動がありましたので、さらに精密調査を実施したところ、情報漏洩が判明したという事例があります。

この該当従業員は、競合他社との不自然な接触を複数回繰り返していましたので、余罪についても調査を続けることになりました。

その情報漏洩をしていた従業員の方の扱いはどうなったのですか。

企業は懲戒解雇処分を検討していて、その証拠に弊社の調査内容を役立てていただきました。

調査のおかげで大事にならず本当によかったですね。従業員の裏切りについてお伺いしましたが、すでに退職した従業員による裏切り行為の対処にも探偵は利用できるのでしょうか。

はい。退職した従業員、元従業員による情報漏洩や引き抜きに悩まれている組織もたくさんあります。退職後も現役の従業員と繋がりを持って裏切り行為を継続している例もありますね。こういったことを放置すれば、組織のダメージはどんどん大きくなりますのでできるだけ速やかな対策が必要です。

方法としては、一般従業員のときの調査と同様、素行調査や聞き込み、データ調査になりますが、すでに組織を離れた人の調査は現役の従業員と比べると企業内部で行うには難易度が上がります。ほぼ全てを探偵が行うケースがほとんどです。

こちらもよろしければ実例を教えていただけますでしょうか。

そうですね、あるベンチャー企業様の事例ですが、元幹部従業員が独立して競合となる組織を立ち上げました。このころ企業側は元幹部が従業員の引き抜きをしているという情報を耳にしていて、実際に複数の退職志願者も出ていると。

状況的には元幹部の裏切りを疑ったのですが、この時点で証拠はありません。そんなことから、弊社に調査依頼をいただきました。

調査内容ですが、まず私どもは該当退職者である元幹部従業員の追跡調査を実施しました。また、この元幹部従業員には依頼元であるベンチャー企業内に内通者がいる可能性があると考えてそちらの調査も実施しました。

結果、元幹部従業員の部下で当時このベンチャー企業で幹部職に就いていた人物が、内通者であると特定できました。また、退職者のうち1人が元幹部従業員の経営する組織に転職していることもつかみました。

この調査結果によって企業側は内通者の従業員を降格するなどの措置をとっています。最終的に内通者だった従業員は退職して元幹部従業員の経営する会社に就職したようですが、ベンチャー企業側は先に対策を講じていましたのでそれ以降は特に影響はありませんでした。

人が入り組んで問題が複雑化していたのですね。企業側は早いうちにプロを入れて調査したことで対策ができて、大きな損失を受けずに済んで本当に良かったですね。従業員の裏切りに頭を悩ませる企業様に何かアドバイスはありますでしょうか。

どんな組織でも従業員の裏切りは起きる可能性があります。そのことを忘れずに未然に防ぐ対策を継続して実施されるのが良いと考えます。また、もし裏切り行為を疑われたりすでに起きているのであれば、できるだけ速やかに調査を実施して対策に進むようおすすめします。そのために必要であれば探偵の利用もご検討ください。

組織の環境を整えてより強い組織になられることをお祈りしております。

本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

企業調査のご相談・お問い合わせ
  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る