企業の情報漏洩をどう防げば良いのか【探偵インタビュー】

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組織トラブルのひとつに情報漏洩があります。組織にはそれぞれ機密情報や組織固有の情報がありますが、それらが故意やミスによって外部に流出するのが情報漏洩です。情報漏洩がもたらす影響は組織内や取引先だけでなく社会全体に及ぶ可能性もあるため、組織が特に注意すべき問題のひとつです。
今回は、組織の情報漏洩調査に20年以上携わっている探偵社の現役担当者に、対策方法を伺いました。

この度はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

今回は組織の情報漏洩問題について伺います。情報漏洩という言葉は気になっていても、自分の会社がまさかと、どこか他人事のように感じている方も多いと思います。探偵から見て組織の情報漏洩問題は珍しくないことなのでしょうか。

そうですね。昨今のメディアで目にしているかもしれませんが、大手企業の情報漏洩問題が取り沙汰されています。比較的近いところでは、2020年末に大手回転寿司チェーンで起きた事件でしょうか。はま寿司からかっぱ寿司に転職して社長に就任した人物が食材の原価についての情報を持ち出していたという事件がありました。

機密情報が幹部社員によって持ち出された事件でしたね。情報漏洩は大手企業や飲食店で起こりやすいのでしょうか?情報漏洩に注意するべき組織の業種や規模があれば教えてください。

情報漏洩はどんな組織でも起こり得ます。中小や個人だから大丈夫とか、うちの業種では関係ないということはありません。
組織の中には必ずそれを支える大切な情報があって、それは大きな財産です。例えば顧客名簿や、取引先の情報。人事や組織構成について、経営企画内容の情報がそれにあたります。もちろん、先の寿司店など飲食店であれば原価やレシピが外部に漏れ出ては困りますし、製造業であれば制作物の全てが漏洩から守るべき対象です。
情報漏洩については、組織の規模や業種によらず、意識する必要がありますね。

なるほど。「うちは大丈夫」は通じないということですね。そこで組織として気になるのは、具体的にどんなリスクがあるのかという点です。リスクの大きさに応じて、対策にかける労力や費用をどうするかが変わってくるかと思います。情報漏洩が組織にもたらす影響について教えてください。

情報漏洩が起きたときに組織が受けるダメージはいくつかあります。まず、実質的に金銭的な損失を負う可能性がありますね。例えば、顧客や顧問先の個人情報を流出させてしまった場合、関係者への損害賠償の支払いや、刑事罰に伴う罰金を支払わなければなりません。多くの場合、金額は小さくありませんから組織としては大きなダメージを受けることになるでしょう。

そのようなことがあれば、組織の経営にも影響しますね。

はい。場合によっては、情報漏洩がきっかけで廃業に追い込まれることもあります。先のような個人情報等の流出があれば金銭面のダメージはもちろんですが、組織は社会的信用を失うことにもなります。株主の信用を失えば株価下落につながりますし、顧客や取引先が離れてしまう可能性もあるでしょう。そうなればますます組織の存続は難しくなるかもしれません。

恐ろしいですね。流出した情報が不正利用される可能性もあるのでしょうか。

それもリスクのひとつですね。組織の機密情報が流出することで、販売競争で不利益を被る可能性があります。また、不正に流出した個人情報が詐欺や事件に利用されてしまえば問題は情報漏洩の域を超えて大きな犯罪に繋がりかねません。そうなれば、一組織ではどうにもできなくなります。こういったことを見据えてしっかり対処しておく必要がありますね。

情報漏洩が組織に及ぼす影響はとても大きいですね。そもそも、情報漏洩はなぜ起きるのでしょうか。

情報漏洩は、用件が出そろったときに起きるとされます。用件とは「機会」と「動機」と「正当化」のことで、これを「不正のトライアングル」と米国の犯罪学者ドナルド・R・クレッシーが提唱しています。

その三つが揃ったときが危ないと。

そうですね。まず「機会」についてですが、容易に情報や金品を盗める環境であるなどがそれにあたります。
例えば、経理を一人で長い期間担当していて、お金を自由に動かしてその人の采配で帳簿をつけられる環境で起きた犯罪のニュースを目にしたことがあるのではないでしょうか。
また、管理者や組織そのものがずさんで、情報の持ち出しが可能であったり、水増し請求をして差額をポケットに入れていても気づかれないといった環境を指します。支店や支部を誰か一人に任せきりにしたり、チェック機能が働かない組織は改善が必要ですね。

機会を与えてしまうことで、不正が起きるのですね。

次に「動機」ですが、これについては細やかで継続的な対策が必要です。
情報漏洩事件では、借金や家族の事情で経済的に逼迫しているといった動機がみられます。ほかにも業務上の問題を隠蔽しようとしているケースや手柄を立てようとして問題に至るケースもあります。営業成績や業務についての組織や取引先からの過度なプレッシャーが動機のこともみられますので、従業員の状況や精神面にも目を配る必要があるでしょう。
もうひとつ「正当化」ですが、通常の社会人は倫理観を持っているものです。ですが、その度合いは人によって異なり、中にはそもそも倫理観が欠如している人も存在します。
また、社風やほかの従業員からの影響で不正についての心理的抵抗が下がることがあります。その場合は「赤信号をみんなで渡れば怖くない」の心理で、あの人もやっているからと自分を正当化するのが情報漏洩に手を染めるきっかけになったりしますね。
こういった用件のうち一つでも兆候がみられたらすぐに対策をする必要があるでしょう。

情報漏洩を未然に防ぐためには、その3つの要素を踏まえて対策することが大切ということですね。

その通りです。
情報漏洩の機会を作らせない環境を保つことと、従業員の身辺や人間関係に目を配って動機がないか常にチェックしてください。そして、研修や社内規則を徹底して倫理観をしっかり持ってもらうよう計らうことも大切です。
また、情報漏洩は、意図的ではなくうっかりミスから起きることもあります。メールの送信先のまちがいや添付のまちがいがないように普段から組織ぐるみで対策することが大切ですね。
ほかにもサイバー攻撃を受けて保有していた個人情報や組織の機密情報が盗まれる事件もあります。こういった犯罪から身を守る対策も考えておく必要があるでしょう。

組織として情報漏洩を防ぐための対策に取り組まなければならないということですね。それでも情報漏洩が起きることはあるかと思います。そのようなときの具体的な対処方法を教えてください。

まずやるべきは事実確認です。情報漏洩が起きているのであれば、誰がどこから何を漏洩したのかをすみやかに把握することが大切です。従業員の不正や、ミスによるのであれば聞き取り調査を実施して状況を確認してください。調査は社内で執り行うケースと、外部に委託するケースとがあり、外部委託を希望するなら調査の専門家である探偵に依頼できます。

情報漏洩に関する調査を探偵社に依頼することができるのですね。探偵社ではどんな調査をしてもらえるのでしょうか。

探偵社が行う調査はいくつかあります。
関係者への聞き取りや、専門的な機器調査が可能です。状況に準じて一通りの調査が可能ですが中でも、情報漏洩に関わった従業員や情報提供を受けた相手についての素行調査は探偵が得意とするところです。プライベートでの行動確認や家族など該当者を取り巻く状況についても調査できますので、事件背景や関連の問題がないかを知るためにも有益ですね。

組織内の聞き取り調査や書類や機器の確認は組織内で実施して、専門的な機器調査や素行調査を探偵社に依頼するという風に一部を委託することはできるのですか。

もちろんできます。依頼したいことを具体的にご指示いただければそれに沿って調査します。必要があれば調査方法や対応をご提案することもできますので、相談しながら進めていただくのもよいでしょう。

組織の味方になって調査してもらえるということですね。情報漏洩問題を探偵に依頼するメリットは専門的な調査が受けられる点かと考えますが、ほかにはどんな利点がありますか。

そうですね。やはり大きいのは客観性が得られることでしょう。組織内の不祥事を組織内だけで調査したのであれば、客観性を欠くとみなされます。それでは、社会や外部組織から納得を得るのが難しくなるものです。昨今の組織についての不祥事案件で、その点を責められるケースを見聞きしているのではないでしょうか。
また、社内不正やミスによる情報漏洩の場合、問題に関わった従業員の処分を検討することになります。そのときに、客観性のある証拠を持って対応することで、問題をめぐる訴訟や、SNSや他組織を使って攻撃されるというトラブルから身を守れます。組織と関係の無い外部の調査を入れることで、懲戒処分の相当性を担保できるのが探偵を入れる大きな意味です。

組織は、情報漏洩について防御をしておくことと、速やかな対処ができるよう準備しておかなければならないということですね。そのために探偵を利用するのもひとつの手段であると。

そうです。情報漏洩は事件、事故を問わずいつでもどんな組織でも起きる可能性があります。そのことを意識して常に予防することが大切です。そして起きてしまったら的確かつ速やかな対応が望まれます。トラブルは初期対応が一番肝心です。組織の内外はもちろん社会的にも適切な対応をとらなければ、問題は大きくなるでしょう。事が起きてから慌てないよう、普段から対応について考えておくと安心ですね。必要に応じて、探偵に相談いただくこともご検討ください。

情報漏洩を他人事と考えず今から備えていただきたいですね。ありがとうございました。

ありがとうございました。

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