従業員の昇進時に行う身辺調査で気をつけること

記事更新日:

組織の拡大や変更、人員の代謝に合わせて人事異動を行います。人事異動は組織運営の大切な行事のひとつですが、中でも役員など要職の人事は特に慎重になる必要があります。職務上の適正はもちろんですが、人となりについてもきちんと把握した上で上手に配置することが組織繁栄の礎になるからです。

こちらでは既存の従業員に昇進してもらう際の注意事項と、身辺調査の必要性について調査会社の担当者が解説します。

従業員を昇進させる際に身辺調査が必須である理由

従業員を昇進させるときの身辺調査の是非についてはいくつかの考え方があります。長年の勤務実績そのものが信頼の裏付けだと考えたり、仕事の能力があればプライベートや人柄について気にしすぎることはないと考えることもできます。

ちょっとした人事異動であれば、確かにそれでも通用します。ですが、該当の従業員を役員や組織の要職に据える場合は、既存の従業員であっても身辺調査は必須です。

旧来の日本式の意識では、あうんの呼吸のようなものがあり、従業員と組織との関係性にもそれは適用されていました。組織に対する忠誠心や、社会人としての最低限のコンプライアンス意識は持っているのが当然であると考えるのが一般通念でしたが、残念なことに現在それは通用しません。

一般の従業員としては問題なく職務をこなしていた人でも、管理職や要職についたことでその立場を利用して私腹を肥やしたり、ハラスメント行為に及ぶ人がいます。そのような不正行為や犯罪行為はほかの従業員を苦しめることはもちろん、組織の存続にまで影響を及ぼすことがあるため注意しなければなりません。

そういった、人事異動の失敗を未然に防ぐのが身辺調査です。基本の考え方や行動の癖を把握した上で配置を決めることで、人事異動後の問題を予見したり防止することができます。選任前に人物像や私生活を把握することで、安心して要職を任せることができますので、身辺調査は大きな安心材料にもなります。

もちろん、人は立場によって人格が変わる可能性を持ってはいますので、異動後も必要に応じて身辺の状況を確認することをおすすめします。

昇進時の身辺調査で気をつけること

従業員を昇進させるときの身辺調査は、組織を守るためにも必須の事項です。身辺調査とは該当者の人となりや普段の生活態度を確認する調査ですが、実施の際に気をつけなければならないことがあります。

該当者を色眼鏡でみたり主観が先行することがないよう意識して執り行う

従業員の身辺調査の目的はあら探しではありません。あくまでも事実をそのまま表に出して、その役職に相応しい人物かどうかを見極めるための材料集めと確認作業です。

一般的な人間の心理として、他者を観るとき主観や既存の情報をベースに判断してしまいがちです。ある程度の予備知識や、過去の出来事からわかることを意識することは必要ですが、それにとらわれすぎると正しい判断ができません。身辺調査の目的である事実の収集に徹するためには、第三者機関である調査会社を利用するなどが望ましいといえます。

組織として調査の意義と意識を正しく持ってそれを貫く

異動前に身辺調査を行うのは組織の利益のためだけではありません。正しい人事を行い職場環境を整えることは一般従業員のためでもあります。

もちろん、適正な役職に配置することで能力を存分に発揮することができるのですから、身辺調査は該当者本人のためでもあります。身辺調査の必要性は、昨今取り沙汰されるプライバシーへの干渉を受け付けない権利とは、また別のものであることを適切に意識しておくことが大切です。そして調査を実施する側は、その点をしっかり理解した上での行動をとることが求められます。

ひとりの従業員を要職に据えるのは、組織にとっても本人にとっても、そして周りの全ての従業員や関係各所にとっても重要な事項です。ひとつボタンを掛け違えてしまえば、重大な問題に進むことがあると意識しながら、身辺調査を実施してください。

身辺調査の実績を記録保管することが大切

身辺調査で収集した事実については、できるだけ詳細に記録を取ってそれを保管しておいてください。身辺調査の目的のひとつは現状の該当者についての事実を知ることですが、もうひとつとても大切な役割があります。それは、今後何かが起きた場合の保険としての役割です。

これから先の未来には何が起きるかはわかりません。何かしらの事件や事故、問題が起きたときに、該当者について「そんな人だとは思わなかった・知らなかった」では済まされないのが社会です。昇進前の身辺調査で、想定できる問題がないかを確認済みである証拠を残しておくことで、組織としての責任を果たすことができます。

ほかにも、今後別の従業員を昇進させたり、外部から要職に就く人物を受け入れるときの判断基準として過去の身辺調査が参考資料になります。表向きの情報や記憶だけに頼るとうまくいかないことがありますので、記録保管しておいてください。それは今後エビデンスとなり、採用活動や昇進時の判断基準として用いたり、本人や従業員への説明資料に利用できます。

組織は人で作られると言われるように、従業員ひとりひとりがその組織そのものでもあります。それぞれについての調査実績を記録保管することで、今後の雇い入れや人事異動時に役立ててください。

身辺調査の一番の目的とは

身辺調査の一番の目的は、該当人物がその役職に相応しいかどうかを見極める判断資料を集めることです。そこで、大切なのは調査前に組織としてその役職にどんな人物を求めているかを明確にしておくことです。

それぞれの組織や役職によってそこに求められる事項は異なります。有能で得のある人物、プライベートでも問題がないというのが理想ですが、何を持って問題があるとするかや、人格面でどこを評価するかは組織の考え方によって微妙に異なるものです。この組織が求める人物像や、外せない事項を具体的に描き持っていることで、人員選定はスムーズに進みます。

身辺調査の目的はあくまでも判断資料の収集です。収集のときは私見を持たずに実施し、集まった資料を基に、その組織の該当役職に相応しいかどうかを見極めることになります。身辺調査の目的と役割を理解した上で、上手にこれを利用すれば組織人事がより良いものになります。

昇進時の身辺調査で組織がやるべきこと

従業員を昇進させたり要職に着任させるときに組織がやるべきことがあります。

該当者の周辺の従業員や関係者から聞き取り

まず実施するのは、該当者の周辺の従業員や関係者から聞き取りです。誰かに聞かれていると言いにくいことがありますので、個人面談を実施して該当者の人となりを尋ねたり、困りごとはないかと確認してください。

組織内での問題は、共に働く従業員同士がいち早く情報を持っていたり、感じていたりするものです。組織内のトラブルや問題対策として、昇進時に関わらず普段から個人面談を実施して問題の吸い上げに努めることが望ましいといえます。

該当者本人の昇進前の個人面談

同時に該当者本人の昇進前の個人面談でも、問題となり得ることはないかの聞き取りを実施すると共に、過去の面談記録を遡って、気になる点がないかを精査してください。万が一、昇進後にトラブルが起きたときには、本人の個人面談記録が参考になることがありますので、こちらも保管しておくことが大切です。

ほかにも、該当者の組織内での経歴の確認や、分かる範囲での家族構成や事情についても把握しておくと安心です。

身辺調査の具体的な進め方

身辺調査には組織内で実施できることと、専門家に依頼することとがあります。前述の面談等は組織内で実施しますので、スケジュールに準じて適宜進めてください。それと同時に調査会社を利用して、さらに詳しい身辺調査を実施します。

組織内調査で確認できるのは、仕事での本人の様子や表向きのプライベートまでです。ですが、人間には多面性がありますので、仕事仲間は良い人だと判断していても実は、何かしらの問題を抱えている例も珍しくありません。ギャンブルや異性問題、家庭トラブルなどは個人の問題ではありますが、組織を巻き込んだ金銭トラブルに発展する可能性もあります。

また、ライバル社や問題のある組織と本人がつながっていれば、それも今後のトラブルの火種になるかもしれません。こういったことを昇進前に知っておくと安心なのですが、聞き取り調査や過去の履歴調査からは、これらの事実を発見するのは簡単ではありません。必要な事実を手にするためには、調査会社を利用することで、最短かつ確実に確認することができます。

調査会社と連携しながら、必要に応じて該当者の関係者を調査したり、事実関係の確認を行えますので、組織の必要に準じて判断材料を集めてください。

調査会社が行う身辺調査とは

調査会社は依頼した組織の意向に沿って法令遵守の元で身辺調査を実施します。具体的に調査会社が行うのは以下のような調査です。

・社内の素行調査

・社外での素行調査

・経歴の確認

・その他 必要な調査

尾行調査や関係各所への聞き取り調査、該当者が普段組織内で使用している機器の調査といったことを必要に応じて実施しますが、尾行調査については、探偵業許可を持つもの以外は基本的に法律上で禁止されています。そのため、尾行が必要であれば必ず探偵業許可を得た調査会社に依頼してください。

いずれの調査も、依頼者である組織の希望を確認して、得るべき事実を望ましい形で得られるよう努めるのが調査会社です。聞き取り先や該当者そして、一般の従業員への配慮についても依頼者の意向を汲んで動いていきます。

調査会社に依頼するメリットは、専門的な調査が実施できることと、客観性のある事実を得ることができる点です。専門性の高い調査会社を上手に利用して健全な組織作りを進めてください。

まとめ:従業員昇進時の身辺調査が組織の明るい未来を作る

従業員を昇進させるときの身辺調査について、必要性や具体的な進め方を調査会社の担当者が解説しました。

従業員を昇進させるのは、組織内の異動のひとつではありますが、管理職・役員や要職への異動にはいくつかの注意が必要です。人事異動を進めてからでは修正が難しく、またトラブルが起きてしまえば取り返しがつきませんので、決定前にできる策を打っておいてください。

身辺調査は組織が組織と従業員を守るための大切な対策です。組織内での対策はもちろん、調査会社を適切に利用することで、大きな安心につながります。この記事が、強い組織作りのお役にたてれば幸いです。

企業調査のご相談・お問い合わせ
  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る