もし自社にひとりでも問題行動をとる社員がいると、会社や他の社員さらには取引先に対しても迷惑を被ってしまいます。モンスター社員を放置することには大きなリスクがあり、早急に対応をする必要があります。
そこで本記事では、モンスター社員の定義や特徴を解説した上で、想定されるリスクやその対応方法も併せてご紹介していきます。
目次
モンスター社員とは
まずは「モンスター社員」とはどのような人物を指すのか、その定義を確認しておきます。
モンスター社員に明確に定められた定義はありませんが、基本的には「問題行動をとる迷惑な社員」のことを指します。問題行動にはさまざまなものが想定され、たとえば、無断欠勤や遅刻を繰り返すといった「社会的モラルが欠如しているパターン」や、情報管理が甘いなど「自社に対して不利益を及ぼす行動をとるパターン」、パワハラやセクハラといった「ハラスメントを行うパターン」が考えられます。
このように、会社や周囲の人間に対して悪影響や不利益を及ぼす行動をとる社員のことを、「モンスター社員」と呼びます。
モンスター社員の特徴7つ
モンスター社員とは「問題があるとみなされる行動をとる社員」のことを指します。単純に「仕事の能力が低くミスが多い」といったような社員はモンスター社員には当てはまりません。本人の意思で、会社や他の社員に対して積極的に不利益を及ぼすというニュアンスです。これらの定義を押さえたところで、モンスター社員によく見られる特徴を7つご紹介します。
責任感がない
モンスター社員に考えられる特徴のひとつが「責任感がない」ということです。
モンスター社員は自分勝手な性格であることが多く、周囲への配慮を考えません。こういった自分勝手で周囲を顧みない性格の人は、仕事に対する責任感がない可能性が高いです。責任感がないと雑に仕事をしたり、仕事そのものを放棄したり、ルールを破ったりと、会社にとって大きな不利益を及ぼします。
協調性に欠ける
次に考えられる特徴が「協調性に欠ける」という点です。
先にも説明したようにモンスター社員は自分勝手な性格であることが多く、自己中心的な考えを持っているために周囲との協調性に欠けることがよくあります。協調性に欠ける行動には「コミュニケーションをとらない」、「周りの意見を無視する」、「周囲と協力せずにひとりで行動する」といったことが挙げられます。
なかには人とのコミュニケーションが苦手なことが原因で協調性に欠けるという人もいます。しかしモンスター社員と呼ばれる人たちはこれとは違い、「自分が周囲と協調する必要がない」という自己中心的な考えを前提として持っていることが特徴です。
自信過剰の傾向がある
「自信過剰の傾向がある」というのもモンスター社員の特徴です。
自信過剰な人は自分勝手な行動をとりがちで、結果的にモンスター社員となってしまうことがよくあります。こういった人は自分よりも周囲が劣っていると考え、横柄な態度をとったり「自分は仕事ができるから周囲とは協力しなくてもよい」という考えから、自分本意に仕事を進めたりします。
仕事の年数を重ねたベテラン社員に多くいると思われがちですが、モンスター社員と呼ばれる人たちはもともとこのような性格であることが多いです。もとから自信過剰な性質を持っているのであれば、注意をしても改善が見られない可能性が高く結果的に手がつけられない迷惑社員になってしまいます。
仕事に対する意欲が低い
単純に仕事の能力が低い人を「モンスター社員」とは呼びません。能力が低くても仕事に対して意欲があれば適切に導くことで有用な社員になります。
一方モンスター社員と呼ばれる人たちは能力の有無に関係なく「仕事に対する意欲が低い」という特徴があります。仕事への意欲が低ければ、責任感の欠いた行動をとったり、仕事を雑にこなしたりといった問題行動をとってしまいます。
このケースの場合も改善が困難です。どれだけ指摘をされても仕事自体に対する意欲がなければ、本人は気に留めず改善がされる可能性も極めて低いためです。
ハラスメントに罪悪感がない
パワハラやセクハラなどのハラスメントを繰り返す社員も「モンスター社員」に該当します。
なかでも「モンスター社員」と呼ばれる人たちには「ハラスメントに罪悪感がない」というのが特徴です。たとえば「暴言などの強い言葉で叱責して部下を指導するのが上司の務め」といった考えを持っている場合、パワハラに対しての罪悪感はありません。このような人は注意をされても罪悪感がないために改善しようとは心がけません。
親や配偶者が乗り込んでくる
モンスター社員には本人だけではなく家庭が問題を抱えている場合もあります。その特徴のひとつとして考えられるのが、ことあるごとに「親や配偶者が乗り込んでくる」というものです。
仕事上でのミスや悪い行いに対して指導をすると、親や配偶者が会社に乗り込んできて追及してくるというのがこのケースです。特に近年ではハラスメントに対しての意識が敏感なため「パワハラ」というワードを盾に親類が介入してくることがあります。
この場合には「本人が会社の出来事を誇張して吹聴しているパターン」と「親類が会社での出来事に敏感になっているパターン」の2種類があります。いずれにしても、ことあるごとに親類が乗り込んでくるとなれば必要な指導や指示を行いづらくなり、会社にとっては迷惑なモンスター社員となります。
社会人としてのモラルに欠ける
モンスター社員は「社会人としてのモラルに欠ける」という特徴もあります。
「モラル」とは守るべき規範のことを指します。たとえば「遅刻や欠勤を繰り返す」、「敬語が使えない」、「周囲への配慮を怠る」、「人の噂や悪口を言いふらす」、「自身の過ちを認めない」、これらの行動はすべて社会人としてのモラルに欠ける行動です。
社会人には最低限心得ておくべきモラルがあります。こういったモラルを持つ意識が欠如していると、社会的に問題とみなされる行動を平気でとってしまいます。
モンスター社員が現れる理由
モンスター社員の定義や特徴を確認できたところで「なぜモンスター社員が現れるのか」という理由をご説明します。
モンスター社員が現れてしまうのには、大きく分けると「本人が原因である場合」と「環境が原因である場合」があります。あらかじめそれらの原因を知っておくことによって、モンスター社員の予防や改善を図ることができるかもしれません。それぞれ詳しくみていきましょう。
職場の指導体制が不十分だから
まずは「環境が原因でモンスター社員が現れてしまうケース」です。
もし職場の指導体制が不十分な場合には、モンスター社員が現れてしまう可能性は高まります。たとえば遅刻や欠勤に注意喚起を行うような指導体制が会社になければ、社員は常習的に遅刻や欠勤をするでしょう。
また、会社がハラスメント対策を怠ってしまうと社員はパワハラやセクハラに対する認識が甘くなってしまいます。このように職場の指導体制が不十分であることが、モンスター社員の現れる原因となってしまっているケースがあります。
もともとの性格が影響しているから
次に「本人が原因であるケース」です。
もとから自己中心的な考えを持っている人は、職場でも周囲に配慮をしない問題行動を繰り返す可能性が高く結果的にモンスター社員になります。先に説明をしたような環境が原因の場合であれば、適切に指導体制を整えることで改善が見られる可能性があります。しかし、もともとの性格が影響しているとなると本人が持つ性質や考え方を変えなくてはならず、職場での指導だけで改善を試みるのは困難になります。
自信のなさを隠そうとしているから
そのほかにも「自信のなさを隠そうとしている」といった場合が想定されます。例としては、本当は自信がないことを隠すために強がって横柄な態度をとっているというパターンが挙げられます。
こちらも本人の性格に起因するものではありますが「職場にコミュニケーションをとりやすい環境づくりをする」、「面談などを行い社員としっかりと向き合う」など、適切な対処をすることによって、改善できる可能性があります。
モンスター社員を放置するリスク
モンスター社員は、自分勝手で問題のある言動・行動をとることで、周囲に不利益や悪影響を及ぼします。
そんなモンスター社員を放置しておくとさまざまなリスクが生じます。ここでは、モンスター社員を放置するリスクを具体的にご紹介します。
職場の空気が悪くなる
第一に考えられるのは「職場の空気が悪くなる」というリスクです。
モンスター社員は周囲に迷惑を及ぼす問題行動をとりますが、その被害を受けるのは周りの他社員です。たとえば無断欠勤や遅刻を繰り返すモンスター社員がいれば、その分の仕事のカバーを他の社員がしなければいけません。また、モンスター社員がハラスメントを繰り返す場合には、そのターゲットとなった社員は大きな精神的被害を受けます。
このように、モンスター社員は他の社員に対して悪影響を及ぼします。被害を受けた他社員が気分を害したり、モチベーションを失うことによって、結果的に職場全体の空気が悪くなります。
業務の生産性が下がる
モンスター社員放置のリスクには「業務の生産性が下がる」ということも想定されます。
モンスター社員は仕事への意欲や責任がない場合が多く、真剣に業務へ取り組まないことも多々あります。そのため業務自体にも遅れや失敗が生じることがあり、結果的に他の業務へ悪影響を及ぼします。
また、協調性がないモンスター社員は自分勝手な行動をとり周囲との連携がうまくできません。本来であれば周囲と協力して仕事をこなさなければならないところを、勝手なやり方で進めてしまったりと、業務全体にも支障をきたすおそれがあります。
有能な人材が減る
先にも述べたように、モンスター社員は他の社員に対して被害を及ぼします。
最悪の場合にはモンスター社員の被害を受けた他の社員が居心地の悪さを感じ、辞職してしまう可能性もあります。辞職をしてしまうなかには有能な人材もいるでしょう。特にまじめで誠実な社員であればあるほど、モンスター社員からの被害は大きくなりがちです。
まじめに業務に取り組んでいた他の一般社員が辞職してしまうとなると、当然会社にとっては大きな損害です。モンスター社員を放置してしまうことで、最終的には有能な人材がいなくなり、不真面目で仕事への意欲が低い社員ばかりが残ってしまうといった事態に陥ることも考えれらます。
取引先の信頼を失う
モンスター社員には、責任感がなかったりモラルが欠けているといった特徴があります。
これらの被害を受けるのは自社だけではありません。たとえば責任感がないモンスター社員が担当した仕事の出来は悪い場合が多く、最悪の場合は仕事を放棄するといったことも考えられます。こうなってしまえば、その取引の相手先に対しても迷惑をかけてしまいます。
また、モラルが欠けていることで、取引先に対して失礼な態度や言葉遣いをしてしまったり、約束の時間や納期を守らないといった問題行動をとってしまうかもしれません。こういったことが重なると、最終的には取引先の信頼を失ってしまいます。当然、大切な取引先の信頼を失ってしまうと会社にとっては大きな損失です。
モンスター社員の対応法5ステップ
ご紹介したように、モンスター社員を放置しておくことには多大なリスクがあります。
モンスター社員には何らかの対処が必要になりますが、ここで方法を誤ってしまえば改善が見込めなかったり、強引な手段をとれば法律に反してしまうおそれがあります。そのため、モンスター社員の対応は適切に行う必要があります。ここからは、そんなモンスター社員の対応法を5つのステップに分けてご紹介します。
1.定期的に面談して指導・注意する
問題行動を繰り返すモンスター社員に対しては、まずは定期的に面談をして指導・注意をしてみましょう。
モンスター社員が問題行動を起こすのには理由があるのかもしれません。職場に何らかの不満があることが原因で、仕事への意欲を失い結果的に問題行動を起こしてしまっているケースもあります。このようなケースであれば、たとえモンスター社員といえどしっかりと向き合い、丁重に指導・注意をすることによって改善が見込めるかもしれません。
2.配置換えを行う
モンスター社員に対して、指導・注意をしても改善が見込めない場合には「配置換え」も対処法のひとつです。
「配置換え」とは所属部署の変更や勤務地の変更のことを指し、「配置転換」と呼ばれることもあります。モンスター社員が問題行動を引き起こすのには環境が起因している場合があります。同じ部署に長年勤めていると、業務内容や人間関係に慣れが生じて気が緩みます。
または、単純に同じ業務内容を長年こなしていることが原因でマンネリ化が生じ、仕事への意欲を失っているのかもしれません。こういった場合には、配置換えを行うことで環境に変化が生じ、仕事への意欲を取り戻せることがあります。
ただし、配置換えには「労働者の個別的な同意または就業規則で定められていること」が必要です。一般的には就業規則で定められていることがほとんどですが、この点には注意が必要です。
3.懲戒処分を下す
会社が配置換えを命じて、モンスター社員がそれを一方的に拒否した場合には懲戒処分を下すことができます。
日本の労働契約では、使用者に配置換えを行う権利が認められています。労働契約に定めがない場合や個別的な同意がない場合を除いて、使用者である会社は一方的に配置換えを命じることができ、合理的な理由がなければ、労働者はこの命令を拒否することができません。
万が一労働者が配置換えを拒否した場合には、会社は職務命令違反を理由に懲戒処分を下すことができます。指導・注意を行っても改善がされず、その対応策として配置換えを命じてもそれに応じない場合には懲戒処分も視野に入れましょう。
4.退職勧奨する
モンスター社員に改善の意思が見られず、自社で雇い続けることが困難である場合には退職勧奨を行いましょう。
「退職勧奨」とは会社側が労働者に退職を持ちかけ、互いの合意によって雇用関係を終了させることを指します。特に「合意の上で自主退職を勧める」というのが特徴です。一方的な解雇であれば労働者にとってはその後の再就職においても不利になってしまいますし、最悪のケースであれば労働者の不服から裁判沙汰に発展してしまうこともあります。
退職勧奨であれば、労働者にとっても利益があり、会社側にとっても穏便に事を済ませることができます。
5.どうしても対応できなければ解雇も検討する
ここまでご紹介したいずれの方法でも解決ができず、どうしても対応ができない場合には解雇を検討することになります。
使用者である会社側は、正当な理由があれば労働者に解雇を言い渡すことができます。職務の怠慢や素行不良、度重なる欠勤や遅刻といった問題行動を繰り返すモンスター社員であれば、解雇事由に該当します。
一方的な解雇となれば、場合によってはトラブルに発展してしまうこともあるため、基本的には避けるべきですが、どうしても対応ができない場合には最終手段として解雇を検討しましょう。
モンスター社員に対応するときの注意点
モンスター社員の具体的な対処法をご紹介してきましたが、これらの対応をするにあたり、いくつか注意するべき点があります。あらかじめ注意点を押さえておくことで、スムーズかつ確実に対応ができます。ここからは具体的な注意点を確認していきます。
感情を乱さず冷静に対応する
モンスター社員に対しては「感情を乱さず冷静に対応する」ということを心がけましょう。
どのような方法をとる場合であっても、冷静に判断ができなければ正しく対処することはできません。特にモンスター社員のなかには横柄な態度で接してきたり、指導や注意をしても聞き入れない人がいます。そんな社員に対しては腹が立ってしまい感情的になってしまうかもしれませんが、あくまで対応をする立場として冷静になれるように心構えをしておきましょう。
面談・指導時の記録や証拠を残す
「面談・指導時の記録や証拠を残す」というのもポイントのひとつです。
先にもご紹介したように、面談や指導は対応をするにあたりひとつめのステップになります。ここでモンスター社員に改善が見られなければ次のステップに移ることになりますが、この際に記録や証拠があればトラブルを回避できます。
たとえば配置換えの理由を社員に問われた際にも、「面談・指導をしたけど、改善が見られなかったため」という根拠を示すことができ有効になります。また、最終的に対応ができず解雇となる場合にも有効です。解雇をするにあたっては「可能な限り解雇を回避するように努力する義務がある」と過去の判例で示されています。
つまり、解雇をなるべく避けるように他の対応をした上で、それでもやむをえない場合に初めて解雇は正当なものとみなされます。面談・指導時の証拠を残しておけば、この解雇回避の努力をしていたということが証明でき後々のトラブルを防ぐことができます。
客観性を担保するため他の社員と一緒に対応する
モンスター社員に対応する際には、「他の社員と一緒に対応する」というのも有効です。他の社員も交えることによって、客観性を担保することができます。
モンスター社員に対応をする際には客観的な視点を持つことが重要です。客観的に状況を捉えることで、原因を突き止めることができ有効な対処ができます。モンスター社員とはいえど、仮にも同僚であれば主観的に捉えてしまいがちです。客観性を担保するためにも他の社員と一緒に対応をするのがポイントです。
退職勧奨や解雇通達で企業が負うリスク
ここでは社員から退職強要などで訴えられるリスクなどを考えていきましょう。企業側として心掛けることや、専門家への相談の訴求などモンスター社員への対応として退職勧奨や解雇をご紹介しましたが、これらにはリスクが伴います。
退職勧奨はあくまでも会社側からの一方的な申し出のため、強制することはできません。もしも過度な退職勧奨があった場合には「退職強要」とみなされ、法律に反する行為となります。
解雇通達についても同様にリスクが伴います。原則として会社側は一方的に労働者を解雇することはできません。ただし、あらかじめ就業規則で解雇事由を定め、それらに該当した場合には会社側は一方的な解雇ができます。
また、モンスター社員がこれらの解雇事由に該当するような行動をしていたという証拠があれば、より確実になるため可能な限り証拠を集めておくように心がけましょう。さらに退職勧奨や解雇通達の過程で、過剰な言動や態度をとってしまうと、パワハラと認定されるおそれがあるため注意が必要です。
退職勧奨や解雇通達を行う際には適切な対応を心がけることが大切です。もしどうしても自社での判断が難しい場合やトラブルへと発展する場合には、弁護士などの専門家への相談も検討しましょう。
事例
ここまでモンスター社員について解説をしてきました。よりイメージをしやすいように実際の事例を簡単にご紹介していきます。
※なお守秘義務に反しないよう、内容の一部に改変を加えております。
事例①:無断欠勤する若手社員
A社の社員であるBは日頃から勤務態度が良くなく、特に近頃では無断欠勤が増えていました。Bが無断欠勤をした日には、別の社員がBの業務を代わりに行っていました。しかし無断欠勤が相次ぐことで徐々に業務に遅れが生じ、会社や他の社員にとっても不利益が生じていました。
A社はBとの面談を行い、指導・注意を促しましたが改善が見られるどころか、日ごとに無断欠勤は続きついに無断欠勤が14日を超えました。A社の就業規則では「14日以上無断欠勤をすると懲戒解雇」という旨が定められていたため、この規則に則りA社はBを懲戒解雇しました。
事例②:機密情報を他者に流していた中堅社員
C社の中堅社員であるDは、情報管理が甘くたびたびその件に関して注意を受けていました。
そんなある日、C社の情報がライバル会社へと漏洩していることが発覚し、C社が調査を行った結果、Dが機密情報をライバル会社の社員へと売買していることが判明しました。
企業は証拠を揃えた上でDを懲戒解雇し、同時に損害賠償請求を行いました。Dはこれに対して無実を主張しましたが、事実を裏付ける証拠があったことからDが故意に情報を流出させていたことが認められ、懲戒解雇の有効性と損害賠償請求が認められることとなりました。
事例③:部下へのハラスメントを続ける中間管理職
E社の中間管理職を担うFは、社内でもモンスター社員と呼ばれ問題行動が目立っていました。Fは部下に対して暴言を吐いたり、粗末な態度をとるなどのパワハラ行為を繰り返していたのです。この事実を受けてE社はFとの面談を行い指導と注意を行いました。
その後、少しの間Fの行為は改善されましたが、数週間後には再びハラスメント行為が行われるようになってしまいました。そのたびにFには指導と注意がされましたが、改善はされずついに部下である社員がパワハラを理由に辞職してしまいました。
E社はFに対して、「指導・注意を行ったが改善が見込めない」として退職勧奨を行いましたが、Fはこれを拒否します。対応ができなくなったE社は、就業規則に定められたパワハラ禁止規定への違反を理由にFに対して解雇通知をしました。
これに対して、Fは不当解雇を理由に訴えを起こしましたが、E社が解雇を回避する努力義務を行っていた事、パワハラに該当する行為を行っていた証拠などが提出されていたことから、E社の解雇は正当なものであると認められました。
まとめ
今回はモンスター社員についての解説を行い、その対処法や注意点をご紹介しました。
モンスター社員を放置してしまうと、自社や他の社員さらには取引先に対しても被害を及ぼしてしまいます。注意点を押さえた上で適切な方法で対応をしましょう。また、指導を適切に行い、モンスター社員の発生を防止するような環境づくりを心がけることも大切となります。
この記事がモンスター社員の対応にお困りの企業様にお役に立てれば幸いです。