社内不正の告発を受けたとき組織としてどう対処すべきか

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健全な組織を維持するために、社内不正について考えておく必要があります。特に不正告発を受けた場合の対処が組織の未来に影響します。

今回は社内不正の告発を受けたとき、組織はどう対処すべきかについて外部調査のプロが解説します。

基本的な考え方と対処の流れや、それぞれのケースに沿った対応にも触れていますので、参考になさってください。

社内不正の告発を受けたときの組織としての対処

社内不正の詳細や告発の方法はさまざまですが、いずれのケースであってもまずは基本的な確認を行い、その上で次の行動に移ることになります。

こちらでは、社内不正の告発を受けた後に基本的にやるべきことの流れについて解説します。

告発を受けた問題の精査

社内不正にはいくつかのケースがありますので、まずは今回告発を受けた不正がどれにあたるのかをみていきます。

不正の種類として大きく次のふたつがあります。

  • 就業規則違反を含む法律に抵触する不正
  • 組織のルールに対する不正(内規違反)

今回のケースがどちらにあたるのかを確認し、その上で今後どのように対処するかを検討してください。

問題行動など組織のルールに対する不正については、非常にデリケートな問題で、慎重に取り扱わなければなりません。この時点ではまだはっきりと不正が確定していませんので、複数の想定をふまえて偏りなく見極めることになります。

不正の種類を頭におきつつ、告発内容がどんな問題にあたるのかを精査してください。

事実確認と証拠収集

今回告発を受けた内容の問題点を確認したら、それを実証するための証拠が必要です。

不正の内容にもよりますが、事実確認のための聞き取り調査や、データ調査、就労実態の確認などを行うことになります。

不正調査には社内のチームや経営者本人が実施する内部調査と、外部の専門家に依頼して行う外部調査とがあります。

どちらか一方を選択するというのではなく、それぞれに特性がありますので両方を利用して役割分担するのが望ましいやり方です。

外部調査については、データ調査など専門知識が必要な調査ができることはもちろん、中立的な立場で法的証拠能力のある証拠が集められるのが特徴です。

内部調査、外部調査で得た証拠が問題対応の肝になりますので、丁寧かつ慎重に実施することになります。

不正が疑われる従業員と告発者の身辺調査

今回の問題に関係する従業員の身辺調査を行います。

身辺調査によって証拠が得られるケースや、問題の要因が突き止められることがあります。対象となるのは不正が疑われる従業員ですが、告発者についても告発内容の信憑性を計るためと公平性の観点からある程度の身辺調査が必要です。

身辺調査については、経歴の確認や本人とそれを取り巻く人や家族状況の聞き取りなど内部調査の範囲で可能なものもあります。ですが、日常行動の把握や御社に就業するより前の経歴についての調査は専門知識と技術が必要ですので、外部調査に依頼するほうが効率的かつ適切なケースも多いでしょう。

証拠を取ることに重きを置きすぎて、闇雲に行動すると必要な証拠が得られなかったり、逆に該当者から法的措置を取られる可能性があるので慎重な対処が望まれます。

内部調査と同時に外部調査も検討する

組織内で起きた問題は、組織内で解決するのが基本です。

告発を受けた内部不正についてもこれはあてはまり、組織内での対応の検討や内部調査の徹底は非常に重要です。しかし、内部調査だけでは、対応として十分ではありません。

内部調査と同時に上手に外部調査を利用することで、より適切で失敗のない解決の糸口がみつかります。

外部調査とは、社内不正調査を専門に扱うサービスです。調査の専門家として必要な証拠を確保して組織に提供します。

内部調査のデメリットは、客観性と専門性に欠けることです。

社内不正はいわば身内が起こした問題です。狭い範囲の出来事であるがゆえに、冷静さと感情の線引きが難しいのが実際です。

また、組織の常識が必ずしも社会の常識とイコールだとは限りません。組織の考えをそのまま不正対処にあてはめると、大きな失敗につながる可能性もあります。そこで、第三者の専門家を入れることで、客観性を持った対応ができます。

また、不正問題の洗い出し過程で実施するパソコン等使用機器の調査や身辺調査の実施には専門的な知識と技術が必要です。実際に、ネット情報や専門家ではない人から聞いた話を鵜呑みにして行動したことで、大きな失敗になったケースを複数目にしています。

内部調査を補完してより適切に問題に挑むために、外部調査の利用も検討してください。

内部不正告発の調査は秘密保持が絶対必要

内部不正告発の調査は慎重かつ迅速に遂行する必要があり、調査については秘密裏に進めなければなりません。

内部調査については、調査に携わる人またはメンバーのみで情報を共有して、それ以外の人に知られないように徹底してください。

とはいっても、秘密の徹底は簡単ではありません。どこからか情報が漏れる可能性は充分にあります。必要であれば、外部調査組織に内部調査の進め方について相談すると安心です。

専門性の高い外部調査組織は、調査にまつわるノウハウを持っていますので、総合的な組織サポートが可能です。

社内不正が疑われる従業員の対応

社内不正の告発を受け疑いが認められるとき、該当の従業員への対応で重要なことは次のふたつです。

  • 証拠の隠蔽を阻止する
  • 組織として公平に扱う

まずは、不正の証拠保全のための対策が必要です。証拠の隠蔽をされてしまうと今後の対処が難しくなりますので、出勤停止にするといった対応があります。

また、不正の事実が確定するまでは不正を疑われる従業員について、通常と同等に扱うことが大切です。感情が先行した対応を避けるよう注意してください。

社内不正の事実の確定までは、就業規則や労働基準法に則って該当従業員が不利にならない扱いを心がけることになります。

社内不正を告発した従業員の対応

社内不正を告発した従業員の対応には慎重さが必要です。

告発した従業員は、告発したことで自分が損をしたり、組織が適切な対応を怠ったと判断した場合、組織の対応を待たずに外部組織に訴え出ることがあります。そうなれば、問題は大きくなり複雑化する可能性があります。

以上から、告発したことで本人が不利益を被ることがないよう気を配らなければなりません。組織として今回の問題調査を適切に行うことを約束し、告発した本人を守る手段についても具体的に示しておくことが望まれます。

同時に、告発内容の信憑性確保のために告発した従業員の調査が必要です。

組織と従業員にとって最善の解決を目指して、従業員に寄り添いつつ偏りのない対応を心掛けてください。

匿名告発の対応

内部不正の告発を匿名で受けるケースは珍しくありません。組織内で起きる不正の内部告発は、自分の立場や精神的な負担を考えれば匿名を選択することも充分に考えられるからです。

匿名の告発であっても一定の条件を満たすのであれば、組織は原則としてそれを受け入れて対応する必要があります。

しかし、匿名の内部告発には信憑性が疑われる点や調査が難しいといったデメリットがあります。

匿名の内部不正告発を受けた場合は、記名告発と同様に内部調査をしっかり行い、不足部分については外部調査サービスを利用するなどで対応してください。

不正を告発した従業員が不正に関与しているときの対応

不正を告発した従業員が、その不正に関与しているケースがあります。その場合、該当従業員は加害者として調査対象となるのと同時に、告発者として保護対象でもあります。

不正事実認定後の処罰で優遇するかどうかは別問題として、まずはしっかりとした調査を優先してください。それと同時に、ほかの不正加害者や一般の従業員から嫌がらせや不当な扱いを受けることがないよう、注意深く取り扱わなければなりません。

該当従業員は、不正を告発した時点で精神的に追い詰められていることもあり得ますので、十分注意を持って対応する必要があります。

社内不正の告発を受けたときにやってはいけない対処

社内不正の告発は、告発された内容以外に複数の問題をはらんでいます。そのため、告発に対して間違った対処をすれば問題は複雑化してしまいます。

こちらではそのような問題拡大を防ぐために社内不正の告発を受けたときにやってはいけないことについて解説します。

軽く受け流したり様子をみる

内部の従業員が告発をする方法は、通報窓口の利用や直接の上申だけではありません。普段の何気ない会話や、仕事以外の場面での話しの中で重要な告発がなされることが多々あります。

告発の内容は、場合によって面倒に感じるものであったり、信じがたい内容だったりもしますが、それを受け流したり軽くいなすのは失敗です。そのような一般的な会話の中には重要な情報が含まれていますので、速やかに必要な行動をとってください。

また、内容や場合によっては「様子をみる」という判断もあります。しかし、社内で起きているかもしれない問題については、これを当てはめるべきではありません。組織側が早期に対処することで、速やかな問題解決ができたり、問題が小さい内に火消しできることがあります。

どのような形であっても、組織内での問題が耳に入ったときは、しかるべき対処が必要です。

告発者をそのまま信用する

告発した従業員の訴えは組織改善に必要なものであり、それに応じて適切に対応するのが正しいあり方です。ですが、その訴えをそのまま鵜呑みにするにはリスクがあります。

告発者が嘘をついているケースや、事実について感情が乗って大げさに表現しているケースがあるからです。

だからといって、疑ってかかるような態度をとることや、放置することは別のリスクがあります。信じてもらえなかった告発者が、外部にリークしたり、本人が精神的に不安定になるケースがあるからです。

告発があった時点ではまだ事実認定はできていませんので、フラットに物事をみるように努めることが大切です。

告発した従業員ではなく、問題そのものに重点を置いて対処することが望まれます。

証拠より感情や状況証拠を優先する

内部不正問題は、法的効力を持つ証拠があって事実認定がなされます。事実認定の前に状況証拠や感情を優先して行動することは控えなければなりません。

どんな組織であっても、組織内は閉鎖された空間です。組織内のみで通用する常識や空気感が状況証拠の裏付けのようになって、それが確かなものであるかに感じさせられることがあります。また、内部の人間の問題ですから、どうしても感情がゆれるのが人間です。実際には状況証拠や、直感が的中していることは多いのですが、社会的に取り扱う場合、それだけでは証拠にはなりません。

使える証拠がないまま、事実であるかのようにとらえて行動すると、問題は拡大化する恐れがあります。くれぐれも注意して、慎重に動いてください。

まとめ:社内不正の告発は受け取ったときの対応が重要

社内不正の告発を受けて、組織はどう動いて行くべきなのかについて解説しました。

社内不正の形や詳細は様々ですが、どこの組織でもあり得ることです。そして、それを内部告発という形で組織が把握するのもひとつのケースです。

社内不正の対処は、告発を受けたときからすでに始まっています。告発を受けてどう動けるかがその後の問題解決や、ひいては組織のあり方に大きく影響します。問題には適切かつ迅速に対応することが大切です。

告発を耳にしたら、内部での対応体制を整えるのと共に適切に外部調査機関を利用して、より良い解決を目指すことが望まれます。

御社の問題が早急に解決し、より強靱な組織に進まれることを心よりお祈りいたします。

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